ホーム/コラム/下地処理が8割を決める|契約前に確認すべきポイント

下地処理が8割を決める|契約前に確認すべきポイント

外壁塗装の品質は下地処理が8割を決める。50年の職人が解説する高圧洗浄・ケレン・クラック補修・シーリングの重要性と、契約前に確認すべきチェックリスト。見積書の「一式」表記の危険性も解説。

はじめに:塗装の成功は「見えない部分」で決まる

私は愛知県で50年続く塗装店の2代目です。200件以上の現場を見てきた中で、「下地処理の手抜き」が原因で数年で塗装がダメになるケースを何度も目にしてきました。

外壁塗装の品質は、私が提唱する「塗装方程式」で決まります。

品質 = モチベーション × 技術 × 時間

この公式の中で、「技術」の8割は下地処理が占めています。

料理に例えると分かりやすいかもしれません。おいしい料理は、「良い食材」と「腕のあるシェフ」の2つが揃って初めて完成します。外壁塗装において、高価で高性能な塗料はまさに「良い食材」です。しかし、どれだけ優れた食材があっても、「腕のあるシェフ」による丁寧な下準備、つまり「下地処理」がなければ、最高の料理(=長持ちする美しい塗装)は決して生まれません。

下地処理は、塗装が完了すると外からは見えなくなってしまう工程です。そのため、残念ながら手抜きやごまかしがされやすい部分でもあります。

この記事では、契約前に施主自身が確認すべき下地処理のポイントを解説します。

外壁塗装における「下地処理」とは?

外壁塗装における「下地処理(素地調整)」とは、塗装を行う前に下地の状態を整えるための一連の作業を指します。

その主な目的は、塗料と下地の密着性を最大限に高めることです。

下地処理の種類

【各作業の内容と重要な理由】

  • 高圧洗浄:苔・カビ・汚れ・チョーキングを洗い流す → 汚れに塗料が付着すると数年で剥がれる
  • ケレン:サビや古い塗膜を物理的に削り落とす → 残ったサビは塗膜の下で成長し続ける
  • クラック補修:ひび割れをシーリング材で埋める → ここから雨水が浸入し雨漏りの原因に
  • シーリング補修:サイディングの目地を補修 → 「打ち替え」と「増し打ち」の違いが重要

高圧洗浄:塗装の土台を作る

高圧洗浄は単なる清掃ではありません。新しい塗料を密着させるための完璧なキャンバスを作る作業です。

なぜ重要なのか?

汚れや古い塗膜の粉が残っていると、塗料は壁ではなく「汚れ」に付着してしまいます。これが数年で剥がれる直接的な原因です。

手抜きのサイン

【適正な作業と手抜きの比較】

  • 適正:1日かけてじっくり洗浄 / 手抜き:半日で終わらせる
  • 適正:苔・カビが完全に落ちる / 手抜き:黒ずみが残っている
  • 適正:翌日以降に乾燥を確認 / 手抜き:すぐに次の工程へ

ケレン:サビは塗膜の時限爆弾

ケレンとは、主に鉄部などの金属部分に対して行われる作業です。サンダー(電動工具)や紙ヤスリを使い、サビや剥がれかけた古い塗膜を物理的に削り落とします。

専門家の間では「ケレンが塗膜の寿命に与える影響は、塗料の種類や塗り回数よりもはるかに大きい」と言われるほど重要な工程です。

なぜ重要なのか?

削り残したサビは、新しい塗膜の下で静かに成長を続けます。数年後には塗膜を内側から押し上げて膨れや剥がれを引き起こします。

塗装を内部から破壊する時限爆弾のようなものなのです。

クラック補修:建物の「傷口」を治す

モルタル壁などに発生したひび割れ(クラック)を、シーリング材や専用の補修材で埋めて、下地面を平滑にする作業です。

なぜ重要なのか?

ひび割れは建物の「傷口」です。ここから雨水が浸入すると、建物の構造体を傷め、雨漏りの直接的な原因となります。

塗装で上から蓋をするだけでは何の意味もありません。

シーリング補修:「打ち替え」と「増し打ち」の違い

サイディング外壁のボード間の隙間を埋める「シーリング(コーキング)」を補修する作業です。

【打ち替えと増し打ちの比較】

  • 打ち替え:古いシーリングを完全に除去して新しく充填 → ◎ 長持ち
  • 増し打ち:既存の上から重ねる → △ 早期剥離のリスク

主要な目地には「打ち替え」が指定されているか、見積もりで必ず確認してください。

下地処理の手抜きが招く4つの劣化症状

下地処理が不十分なまま塗装を行うと、せっかくの工事も数年で台無しになります。これは手抜き工事の典型的なパターンです。

【症状と原因】

  • 塗膜の剥がれ:高圧洗浄・ケレン不足で塗料が密着しない
  • 塗膜の膨れ:補修されていない隙間から水分が侵入
  • ひび割れ再発:既存のクラックを補修せず上から塗装
  • 色ムラ・凹凸:下地処理不足で塗料が均一に密着しない

再塗装のコスト

これらの劣化症状が数年で現れると、問題は見た目だけでは済みません。

塗装費用の大部分を占める足場代や人件費を、もう一度支払って補修工事を行う羽目になるのです。

下地処理を省いて初期費用をわずかに節約したとしても、その何倍もの出費となって跳ね返ってきます。

【最重要】契約前に確認すべきチェックリスト

見積書のチェックポイント:「一式」表記に要注意

外壁塗装の見積書で最も警戒すべきは、内容が曖昧な「一式」という表記です。

「一式」表記の多い見積書は、もはや見積もりではなくブラックボックスです。施主が何にお金を払っているのかを不透明にし、業者がコストを削るために重要な工程を省略する抜け道となります。

【確認すべき項目】

  • 仮設足場:設置面積(㎡)と単価が明記されているか
  • 高圧洗浄:洗浄面積(㎡)と単価が明記されているか
  • シーリング工事:「撤去・打ち替え」の長さ(m)と単価が明記されているか
  • ひび割れ補修:補修方法と長さ(m)または箇所、単価が明記されているか
  • ケレン(サビ落とし):作業範囲(㎡, mなど)と単価が明記されているか
  • 下塗り:使用する塗料名と塗装面積(㎡)、単価が明記されているか → 3回塗りについて詳しく見る

業者への確認質問リスト

見積もりや現地調査の際には、以下の質問を業者に直接投げかけてみましょう。

質問1:「下地処理の工程について、具体的にどのように行うか教えてください」

建物の状態を踏まえて具体的な作業内容を丁寧に説明できる業者は、下地処理の重要性を深く理解しています。

説明が曖昧だったり専門用語ばかりで分かりにくかったりする場合は注意が必要です。

質問2:「下地処理には、どのくらいの作業日数を予定していますか?」

下地処理にも適切な「人工(にんく)」が必要です。

極端に短い工期は、重要な乾燥時間を無視している可能性が高く、品質を犠牲にしている証拠です。

「大丈夫です、すぐ乾きますから」という業者は信用できません。

質問3:「作業中の各工程、特に下地処理の状況を写真で報告してもらえますか?」

この依頼は、施工の透明性を業者に求めるリトマス試験紙です。

自信を持って丁寧な仕事をしている業者なら、喜んで「見えない部分の見える化」に応じてくれるはずです。

もし渋ったり、面倒くさがったりするようであれば、それは重大な危険信号です。

質問4:「見積もりに含まれている下地補修の範囲はどこまでですか?」

「ひび割れ補修は〇ヶ所まで」「想定外の劣化が見つかった場合は別途費用」など、費用の範囲を事前に明確にすることで、契約後に予期せぬ追加請求が発生するトラブルを防ぎます。

まとめ:下地処理が8割を決める

外壁塗装の成功は、カタログで比較できる上塗り塗料のグレードだけでなく、その下に隠された「下地処理」の質に大きく左右されます。

塗装方程式で考える

品質 = モチベーション × 技術 × 時間

【下地処理との関係】

  • 技術:下地処理が8割を占める
  • 時間:高圧洗浄・乾燥に十分な「人工」が必要

どんなに優れた塗料も、しっかりとした土台がなければその性能を発揮することはできません。

契約前に見積書の内訳を細かく確認し、業者に具体的な質問を投げかける。

この一手間が、あなたの資産である住まいを10年、15年と長く守り抜くための、最も強力な武器となるのです。

関連記事

「人工」で品質を見極める

工期が短すぎる工事は危険

写真報告を契約条件にすべき理由

契約前に確認すべき10のポイント

工事が始まってからでは手遅れです

下地処理は完成後には見えなくなります。だからこそ、契約時に「施工管理アプリを使う」ことを条件にしましょう。

施工管理アプリでできること

  • 高圧洗浄・ケレン・クラック補修の写真報告をLINEで受け取り

21工程すべてを可視化

  • 乾燥時間の自動通知
  • 工程ごとの品質評価

「見えない部分」を見える化することで、手抜きを未然に防げます。

→ 施工管理アプリについて詳しく見る

見積書、このままで大丈夫?

50年の現場経験を持つ診断アドバイザーが、あなたの見積書をチェックします。 適正価格か、工程に問題はないか、第三者の目で確認してみませんか?

無料で相談する

※ 営業目的の連絡は一切いたしません

プロが使う人工数比較シートを無料プレゼント

見積書の「人工数」を比較して、手抜き業者を見抜く

※ 個人情報は厳重に管理し、第三者に提供することはありません