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30坪の外壁塗装|適正な人工数と工期の目安を徹底解説

「30坪の外壁塗装、1週間で終わると言われたけど大丈夫?」

結論から言えば、30坪の外壁塗装を1週間で終わらせることは、乾燥時間を無視し、必要な工程を省略しない限り物理的に不可能です。

この記事では、30坪住宅の外壁塗装に必要な「適正人工数」と「工期」を、各工程別に詳しく解説します。見積もりの工期が適正かどうかを判断する基準として活用してください。

「人工(にんく)」とは

建設業界の労働単位

「人工」とは、1人の熟練工が1日(実働約7時間)で遂行可能な作業量を「1」とした単位です。

例:「10人工」の意味

  • 1人の職人が10日間作業する
  • 2人の職人が5日間作業する
  • 5人の職人が2日間作業する

ただし、塗装工事では乾燥時間という物理的制約があるため、人数を増やしても工期を無限に短縮することはできません。

なぜ人工を理解する必要があるのか

塗装工事の原価構成において、材料費は約20〜30%に過ぎません。残りの大半は人件費(人工賃)と足場代が占めます。

つまり、工事費用の削減は、必然的に「人工の削減」=「作業時間の短縮」や「工程の省略」に直結します。

適正な人工数を理解することは、適正な施工品質を理解することと同義です。

30坪住宅の基本スペック

標準モデルの設定

延べ床面積:30坪(約99㎡)

構造:木造2階建て

外壁材:窯業系サイディング

外壁総面積:約150㎡

塗装有効面積:約120㎡(窓など除く)

足場架面積:約180㎡

シーリング総延長:約400〜600m

費用相場と工期のベースライン

費用相場:60万〜100万円

工期:7日〜14日(実働)

この価格帯の幅(40万円の差)は、塗料のグレード差もありますが、「下地処理にかける人工数の差」が大きく影響しています。

工程別:必要人工数と日数

1. 足場設置

架面積:約180㎡

標準歩掛かり:0.015〜0.02人工/㎡

必要人工:2〜3人工

所要日数:1日

足場は専門の鳶職が施工。飛散防止ネットの設置も含みます。

注意:「足場無料」キャンペーンは、この必須コスト(15〜20万円)を他の項目(塗装の人工や塗料代)に転嫁しているに過ぎません。

2. 高圧洗浄

洗浄対象面積:約150㎡以上

標準歩掛かり:150〜200㎡/日/人

必要人工:1人工

所要日数:1日

半日(3〜4時間)で終了する場合は、単に水をかけているだけの「散水」に近い作業。頑固な汚れや旧塗膜の除去が不十分な可能性があります。

3. 乾燥期間(洗浄後)

適正乾燥期間:24〜48時間

所要日数:1〜2日(作業なし)

サイディングやモルタルは水を吸い込むため、完全に乾燥するまで待機が必要です。

リスク:洗浄翌日に即塗装を開始すると、外壁内部に残った水分が蒸発しようとして塗膜を押し上げ、「膨れ」や「剥がれ」の原因になります。

工程表で洗浄の翌日に塗装工程が入っている場合は要注意。

4. シーリング工事(最大の変動要因)

シーリング工事は、「打ち替え」か「増し打ち」かで必要人工が倍以上異なるため、見積もり比較の最重要ポイントです。

作業量の目安(30坪)

  • 縦目地(ボード間):150〜200m
  • サッシ廻り:150〜200m
  • その他(入隅、軒天等):100〜150m
  • 総延長:400〜600m

「打ち替え」vs「増し打ち」の比較

打ち替え:

  • 定義:既存シールを完全撤去→新規充填
  • 歩掛かり:30〜50m/日/人
  • 必要人工(500m):10〜16人工
  • 所要日数:4〜6日
  • 単価相場:900〜1,200円/m
  • 耐久性:10〜15年

増し打ち:

  • 定義:既存シールの上から被せて充填
  • 歩掛かり:80〜100m/日/人
  • 必要人工(500m):5〜6人工
  • 所要日数:2〜3日
  • 単価相場:500〜900円/m
  • 耐久性:5〜7年

撤去作業の実態

「打ち替え」における既存撤去は、硬化したゴムをカッターナイフで外壁材を傷つけないように切り取る、極めて繊細かつ握力を消耗する作業です。

熟練工2名を投入しても、最低4〜5日、丁寧に行えば1週間近くかかるのが適正工期です。

手抜きの兆候:

  • シーリング工事が一式計上で安価(15万円以下)
  • 工期が1〜2日しか取られていない

→ 本来打ち替えるべき縦目地まで増し打ちで済ませている可能性が高い

5. シーリング乾燥期間

適正乾燥期間:2〜3日以上

所要日数:2〜3日(作業なし)

重要:シーリングが硬化する前に塗装すると、塗膜割れや汚染(ブリード)の原因になります。

6. 養生(マスキング)

作業内容:窓、玄関、土間、室外機等の被覆

必要人工:1.5〜2人工

所要日数:1〜2日

養生は塗装の「見切りライン」を決定する作業。雑な業者は養生が汚く、テープが浮いています。

熟練工は養生に時間をかけ、塗装作業自体のスピードと精度を上げます。

7. 下地補修・ケレン

作業内容:クラック補修、鉄部研磨

必要人工:0.5〜2人工

所要日数:0.5〜1日

劣化状況により大きく変動する工程です。

8. 外壁塗装(下塗り・中塗り・上塗り)

下塗り(シーラー/フィラー):2〜3人工、1日

中塗り(主材1回目):2〜3人工、1日

上塗り(主材2回目):2〜3人工、1日

合計:6〜9人工、3日

各工程間に乾燥時間が必要。連続塗装(ウェット・オン・ウェット)は密着不良の原因です。

9. 付帯部塗装

作業内容:軒天、雨樋、破風、雨戸等

必要人工:4〜6人工

所要日数:2〜3日

外壁工程と並行して進められる場合もあります。

10. 点検・手直し・足場解体

点検・手直し:1〜2人工、1日

足場解体:2〜3人工、1日

合計:3〜5人工、2日

塗り残し検査、清掃、施主立会い検査を経て、最終確認後に解体。

適正工期のまとめ

30坪住宅の適正人工数と工期

適正総人工数:20〜30人工

適正工期:2週間〜3週間

工程別の標準日数

  • 足場設置:1日
  • 高圧洗浄:1日
  • 乾燥期間(洗浄後):1〜2日(作業なし)
  • シーリング(打ち替え):4〜6日(撤去+充填)
  • 乾燥期間(シーリング後):2〜3日(作業なし)
  • 養生:1〜2日
  • 下地補修・ケレン:0.5〜1日
  • 外壁塗装(3回塗り):3日(乾燥時間含む)
  • 付帯部塗装:2〜3日
  • 点検・手直し:1日
  • 足場解体:1日

合計:約17〜22日(天候順延含まず)

手抜きリスクのある短縮スケジュール

1週間で終わる工事の実態

「足場を組んでから解体まで1週間」という工期は、以下の手抜きをしない限り達成不可能です。

足場・洗浄(1.5日):午前足場、午後洗浄。乾燥なしで翌日へ

下地処理(1日):シーリングは増し打ちのみ。乾燥時間なし

塗装(2日):3回塗りを2回に減らす。または乾燥待ちせず連続塗装

足場解体(0.5日)

合計:約5〜7日

短縮工事のリスク

膨れ・剥がれ:乾燥時間不足で水分が塗膜内に閉じ込められる

シーリングの早期破断:増し打ちは5〜7年で切れる

塗膜の密着不良:連続塗装で層間剥離が発生

季節による工期の変動

梅雨・台風シーズン(6〜9月)

  • 雨天による作業中止が頻発
  • 工期は通常より+5日〜1週間の余裕が必要
  • 湿度85%以上での塗装は白化や密着不良の原因

冬期(12〜2月)

  • 気温が低く、日照時間が短い
  • 1日あたりの作業可能時間が減少
  • 塗料やシーリングの硬化が遅くなる
  • 工程間の乾燥インターバルを長く取る必要あり

5℃以下での塗装は造膜不良のリスクがあります。

契約前の確認ポイント

質問1:「延べ何人の職人さんで行う計画ですか?」

30坪で20人工を下回る回答は警戒が必要。

質問2:「シーリングは打ち替えですか?増し打ちですか?」

見積書に「一式」ではなく、メートル数(m)と単価が明記されているか確認。

質問3:「工程表を見せてください」

洗浄後、シーリング充填後、各塗装工程の間に、適切な空白期間(乾燥日)が設けられているか確認。

質問4:「日報を提出してもらえますか?」

毎日の作業内容と入場人数を記録した日報の提出を求めることは、手抜き抑止に極めて有効です。

まとめ

30坪の外壁塗装には、科学的根拠に基づいた「適正な人工」と「物理的に省略できない時間」が存在します。

30坪住宅の適正基準:

  • 適正総人工数:20〜30人工
  • 適正工期:2週間〜3週間
  • 最重要チェック:シーリングのm数と工法、乾燥時間

1週間で終わる工事は、乾燥時間を無視し、必要な工程を省略している可能性が極めて高いです。

外壁塗装は、工場で作られた製品を買うのではなく、現場で職人の手によって作られるサービスを買う行為です。

「安さ」ではなく「丁寧さ(=適正な人工)」を評価軸に据えることが、10年後も安心して住める家を守る最大の防衛策です。

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