「足場を解体した後に、塗り残しを見つけてしまった…」
外壁塗装の工事が終わり、足場も解体され、やれやれと思った矢先。よく見ると、塗りムラや塗り残し、気になる箇所を発見。
「もう足場がないのに、どうすればいいの?」
この記事では、塗装業50年の経験から、足場解体後に不具合を発見した場合の対処法を解説します。諦める必要はありません。今からでもできることがあります。
この記事で分かること
- 足場解体後に発見しやすい不具合の種類
- 不具合を発見した時の初動対応
- 業者への連絡方法と伝え方
- 補修対応の種類と費用負担
- 業者が対応してくれない場合の対処法
- 次回の工事で失敗しないために
足場解体後に発見しやすい不具合の種類
1. 塗り残し・塗り忘れ
症状:
- 一部だけ色が違う
- 塗装されていない箇所がある
- 付帯部(雨樋、破風など)の塗り忘れ
原因:
- 職人の確認不足
- 養生の影響で見落とし
- 工程管理のミス
2. 塗りムラ・色ムラ
症状:
- 色の濃淡がある
- 光の当たり方で色が違って見える
- ツヤにばらつきがある
原因:
- 塗料の塗布量が不均一
- 乾燥時間の不足
- 塗料の希釈率が不適切
3. 塗料の垂れ・たまり
症状:
- 塗料が垂れて筋になっている
- 角や隅に塗料がたまっている
- 厚塗りで凸凹している
原因:
- 一度に厚く塗りすぎた
- 気温が低く乾燥が遅かった
- 職人の技術不足
4. 養生跡・はみ出し
症状:
- 窓枠やサッシに塗料がはみ出している
- 養生テープの跡が残っている
- 塗装しない部分に塗料が付着している
原因:
- 養生が不十分だった
- 養生テープの剥がし方が悪かった
- 塗装後の確認不足
5. 塗膜の膨れ・剥がれ
症状:
- 塗膜が風船のように膨らんでいる
- 塗装が剥がれ始めている
- 塗膜にひび割れがある
原因:
- 乾燥時間の不足
- 下地処理の不備
- 施工時の気象条件が不適切
注意:塗膜の膨れや剥がれは、完成直後ではなく数週間〜数ヶ月後に発生することがあります。
6. 高所の問題
症状:
- 2階以上の外壁に塗り残しがある
- 屋根と外壁の境目に問題がある
- 軒天や破風に不具合がある
原因:
- 足場がないと施主が確認できなかった
- 職人の確認不足
- 完了検査の漏れ
不具合を発見した時の初動対応
ステップ1:落ち着いて記録する
不具合を発見したら、まず記録を取りましょう。
記録すべきこと:
- 発見日時
- 不具合の場所(北側2階、など具体的に)
- 不具合の内容(塗り残し、ムラなど)
- 写真(複数アングルで)
写真撮影のポイント:
- 遠くから(場所が分かるように)
- 近くから(不具合の状態が分かるように)
- 寸法が分かるように(定規やメジャーを当てる)
- 日付が入るように(スマホなら自動で記録)
ステップ2:感情的にならない
不具合を発見すると、怒りや失望を感じるのは当然です。しかし、感情的になって連絡すると、交渉がうまくいかないことがあります。
業者も人間であり、ミスは起こりえます。大切なのは、「どう対処してもらうか」です。
私の著書『塗装方程式』でも触れていますが、違和感や不具合を放置しないことが大切です。職人も人間であり、ミスは起こるものとして構えておくことで、問題が起きても落ち着いて対処できます。
ステップ3:契約書・保証書を確認する
連絡する前に、契約書と保証書を確認しましょう。
確認ポイント:
- 保証の範囲(何が保証されているか)
- 保証期間(何年間か)
- 連絡先(担当者、会社の電話番号)
- アフターフォローの内容
多くの塗装工事には、施工保証が付いています。保証期間内であれば、無償で補修対応してもらえる可能性が高いです。
業者への連絡方法と伝え方
連絡手段の選び方
おすすめの連絡手段:
おすすめの方法:
- まず電話で連絡し、状況を伝える
- その後、メールで写真と詳細を送る(記録を残す)
伝え方の例文
電話での伝え方:
「○○と申します。先日、外壁塗装工事をしていただきありがとうございました。工事完了後に外壁を確認したところ、気になる箇所を見つけましたので、ご連絡しました。北側の2階部分に、塗り残しのような箇所があります。写真も撮っていますので、確認していただけますでしょうか?」
ポイント:
- 最初に感謝を伝える
- 具体的な場所と症状を伝える
- 写真があることを伝える
- 「確認してほしい」というスタンスで
避けるべき伝え方
NG例:
「手抜き工事だ!どうしてくれるんだ!」
「こんな仕上がりで金を払えるか!」
「詐欺じゃないか!訴えてやる!」
感情的になると、業者との関係が悪化し、スムーズな補修対応が難しくなります。
大切なのは、問題を解決することです。責めることではありません。
補修対応の種類と費用負担
補修方法1:部分補修(タッチアップ)
対象:
- 小さな塗り残し
- 軽微なはみ出し
- 養生跡
方法:
- 刷毛やローラーで部分的に塗り直す
- はしごや脚立で届く範囲
費用負担:
- 通常、無償対応(保証範囲内)
補修方法2:面塗り直し
対象:
- 広範囲の塗りムラ
- 色ムラが目立つ面
- 塗膜の膨れ・剥がれ
方法:
- 該当する面を全体的に塗り直す
- 場合によっては下地処理からやり直し
費用負担:
- 施工不良の場合は無償対応
- 経年劣化の場合は有償の可能性あり
補修方法3:足場の再設置が必要な場合
対象:
- 2階以上の高所の不具合
- 広範囲の補修が必要
- 屋根や軒天の問題
方法:
- 足場を再度設置
- 補修作業を実施
- 足場を解体
費用負担:
- 施工不良の場合は無償対応が原則
- 足場費用は業者負担であるべき
重要:施工不良による補修の場合、足場の再設置費用は業者が負担するのが原則です。「足場代がかかるから対応できない」という言い訳は、通常、受け入れるべきではありません。
費用負担の考え方
業者が対応してくれない場合の対処法
対処法1:再度、書面で請求する
口頭での交渉がうまくいかない場合、書面(内容証明郵便など)で正式に請求しましょう。
記載する内容:
- 不具合の具体的な内容
- 発見日
- これまでの交渉経緯
- 補修を求める旨
- 回答期限
書面で記録を残すことで、後の交渉や法的手続きに備えることができます。
対処法2:消費生活センターに相談する
消費生活センターは、消費者トラブルの相談窓口です。
相談できること:
- 業者との交渉方法のアドバイス
- あっせん(仲介)の依頼
- 法的手続きの案内
連絡先:
- 消費者ホットライン:188(いやや)
- 最寄りの消費生活センターに繋がります
対処法3:住宅リフォーム・紛争処理支援センターに相談する
住宅リフォーム・紛争処理支援センターは、住宅に関するトラブルの相談窓口です。
相談できること:
- 専門的なアドバイス
- 弁護士や建築士への相談紹介
- 紛争処理の支援
連絡先:
- 住まいるダイヤル:0570-016-100
対処法4:弁護士に相談する
金額が大きい場合や、業者が全く対応しない場合は、弁護士に相談することも検討しましょう。
相談のタイミング:
- 業者が全く対応しない
- 高額な補修費用を請求された
- 法的手続きを検討する
弁護士費用:
- 初回相談:無料〜数千円(事務所による)
- 本格的な依頼:数万円〜
参考:弁護士会の無料相談や、法テラス(法律支援センター)を利用する方法もあります。
対処法5:口コミ・レビューを活用する
交渉がうまくいかない場合、口コミサイトやGoogleレビューに事実を投稿することも一つの手段です。
注意点:
- 事実のみを記載する(感情的な表現は避ける)
- 誹謗中傷にならないようにする
- 名誉毀損にならないよう注意する
業者にとって、ネガティブな口コミは集客に影響するため、対応を促す効果があることもあります。
よくある不具合別の対処法
ケース1:塗り残しを発見した
対処法:
- 写真を撮って記録する
- 業者に連絡し、補修を依頼する
- 部分補修(タッチアップ)で対応してもらう
ポイント:
- 塗り残しは明らかな施工不良
- 保証の有無にかかわらず、無償対応が原則
- 高所の場合は、足場またははしごでの対応を依頼
ケース2:塗りムラが気になる
対処法:
- 写真を撮って記録する
- 光の当たり方を変えて確認する(角度によって見え方が変わる)
- 業者に確認を依頼する
- 必要に応じて、面塗り直しを依頼する
ポイント:
- 塗りムラは主観的な判断もある
- 複数人で確認すると客観的
- 明らかなムラは補修対象
ケース3:塗料のはみ出しを発見した
対処法:
- 写真を撮って記録する
- 業者に連絡し、清掃・補修を依頼する
- シンナーや専用溶剤で除去してもらう
ポイント:
- 窓ガラスやサッシへのはみ出しは比較的簡単に除去できる
- 塗料が完全に乾く前なら除去しやすい
- 無償対応が原則
ケース4:塗膜が膨れてきた
対処法:
- 写真を撮って記録する(日付が分かるように)
- 膨れの範囲が広がっていないか経過観察する
- 業者に連絡し、原因調査と補修を依頼する
- 場合によっては、下地処理からやり直し
ポイント:
- 塗膜の膨れは施工不良の可能性が高い
- 乾燥時間不足や下地処理不備が原因
- 保証期間内であれば無償対応が原則
- 放置すると剥がれに発展する
ケース5:数ヶ月後に剥がれが発生した
対処法:
- 写真を撮って記録する
- 保証書を確認する
- 業者に連絡し、原因調査と補修を依頼する
- 経年劣化か施工不良かを判断してもらう
ポイント:
- 施工後1年以内の剥がれは施工不良の可能性が高い
- 保証期間内であれば無償対応
- 原因によっては部分補修か全面塗り直しか変わる
次回の工事で失敗しないために
教訓1:足場解体前に必ずチェックする
足場がある状態で、最終チェックを必ず行いましょう。
チェックポイント:
- 外壁全体の塗りムラ・塗り残し
- 付帯部(雨樋、破風、軒天など)の仕上がり
- 養生の剥がし跡
- 塗料のはみ出し
- 細部の仕上がり
足場解体前が最後のチャンスです。気になる点があれば、この段階で伝えましょう。
教訓2:工事中に写真記録を残す
工事中に写真で記録を残しておくと、完成後の比較ができます。
記録すべき写真:
- 高圧洗浄前後
- 下地処理前後
- 下塗り完了
- 中塗り完了
- 上塗り完了
- 塗料の缶
教訓3:保証内容を事前に確認する
契約前に、保証内容を確認しておきましょう。
確認ポイント:
- 保証期間(何年か)
- 保証の範囲(何が保証されるか)
- 免責事項(何が保証されないか)
- 連絡先(不具合があった場合の窓口)
教訓4:アフターフォローがしっかりした業者を選ぶ
アフターフォローがしっかりしている会社は、仕事に責任を持っています。
私の著書『外壁塗装の不都合な真実』でも触れていますが、契約前に以下を質問しておくと良いでしょう。
- 「アフターフォローはどうされていますか?」
- 「具体的にはどんなことをしてもらえますか?」
- 「過去にクレームがあった時、どう対応しましたか?」
クレーム対応は、その会社の本当の姿が見える瞬間です。誠実に答えられる会社を選びましょう。
教訓5:地元業者を選ぶ
地元業者は、トラブル時や急な対応にもすぐに来てくれる安心感があります。
遠方の業者だと、補修対応に時間がかかったり、出張費を請求されることもあります。
よくある質問(FAQ)
Q. 足場を再度設置する費用は誰が払うの?
A. 施工不良による補修の場合、業者が負担するのが原則です。「足場代がかかるから対応できない」という言い訳は、通常、受け入れるべきではありません。保証期間内であれば、足場の再設置費用も含めて無償対応が原則です。
Q. 保証期間が過ぎていたらどうなるの?
A. 保証期間が過ぎている場合、有償での補修になる可能性があります。ただし、明らかな施工不良であれば、保証期間外でも交渉の余地はあります。まずは業者に連絡し、状況を説明しましょう。
Q. 業者が倒産していたらどうすればいい?
A. 業者が倒産している場合、補修対応を受けることが難しくなります。この場合、別の業者に有償で補修を依頼するか、住宅リフォーム・紛争処理支援センターに相談しましょう。また、工事にリフォーム瑕疵保険が適用されている場合は、保険会社に連絡することで対応できる場合があります。
Q. 小さな塗り残しでも対応してもらえる?
A. 対応してもらえます。小さな塗り残しでも、施工不良であることには変わりありません。遠慮せずに連絡しましょう。良心的な業者であれば、小さな不具合でも誠実に対応してくれます。
Q. 自分で補修してもいい?
A. おすすめしません。自分で補修すると、以下のリスクがあります。
- 色が合わない
- 塗り方が違い、ムラになる
- 保証の対象外になる可能性
まずは業者に連絡し、対応してもらいましょう。
まとめ:諦めずに対処しよう
足場解体後に不具合を発見しても、諦める必要はありません。
初動対応:
- 落ち着いて写真で記録する
- 契約書・保証書を確認する
- 業者に連絡する
伝え方のポイント:
- 感情的にならない
- 具体的な場所と症状を伝える
- 「確認してほしい」というスタンスで
費用負担の原則:
- 施工不良の場合 → 業者負担(無償)
- 保証期間内 → 業者負担(無償)
- 足場の再設置 → 業者負担(施工不良の場合)
業者が対応しない場合:
- 書面で請求する
- 消費生活センターに相談する
- 住宅リフォーム・紛争処理支援センターに相談する
- 弁護士に相談する
次回の工事では、足場解体前の最終チェックを必ず行いましょう。それが最大の予防策です。
施工管理アプリで不具合を予防
施工管理アプリを使えば、工事中の記録が残り、不具合を予防できます。
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「足場解体後に気づいた」ということがないように、工事中にしっかりチェックしましょう。
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この記事は、塗装業50年の経験を持つ職人監修のもと作成されています。
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→ 足場設置で確認すべき3つのポイント|契約前チェックリスト
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