はじめに:業者選びで「何を聞けばいいか分からない」あなたへ
外壁塗装の見積もりを取ったものの、こんな悩みはありませんか?
- 「業者の説明が正しいのか判断できない」
- 「何を質問すれば信頼性が分かるのか分からない」
- 「見積もり金額の妥当性をどう判断すればいい?」
実は、業者の信頼性を見抜く最も効果的な視点があります。
それが「人工(にんく)」です。
人工とは、職人1人が1日働く作業量のこと。この「人工」に着目した質問を投げかけることで、業者の計画性、誠実さ、施工の丁寧さを判断できます。
50年の塗装経験から、業者に聞くべき5つの質問と、その回答から信頼性を見抜くポイントを解説します。
なぜ「人工」で業者の信頼性が分かるのか?
人工とは?
人工(にんく)とは、職人1人が1日働く作業量を表す単位です。
例:職人2人 × 10日間 = 20人工
人件費は工事費用の30〜50%を占める
外壁塗装工事の総費用のうち、30〜50%は職人の人件費が占めます。
つまり、適切な人数と日数(人工数)をかけることは、塗装の品質に直結します。
人工が足りないとどうなる?
- 職人の人数が少ない → 1人あたりの負担増→細部への配慮不足
- 工期が短すぎる → 乾燥時間不足→塗膜の剥離リスク
- 人件費が削られている → 工程省略→数年で塗膜劣化
人工に関する質問に明確に答えられる業者は、計画性があり信頼できます。
業者に聞くべき5つの質問
質問1:「今回の塗装工事は、何人の職人さんが何日間かけて行う予定ですか?」
この質問の意図:
提示された工期と投入人員(人工数)が適切か確認します。必要な工程に見合う十分な人数・日数が確保されているかで、施工の丁寧さや安全性が推測できます。
信頼できる回答例:
「30坪程度の住宅ですと、職人2名で約10日間(計20人工)を見込んでいます。初日は高圧洗浄に1日、下地処理に2日、塗装に6日程度…」
チェックポイント:
- 具体的な人数・日数が即答できるか?
- 各工程のスケジュールを説明できるか?
要注意な回答:
- 「職人は1人で十分です」
- 「○日で全部終わります」(抽象的・楽観的)
→ 必要工程の省略や工期短縮による手抜きの恐れあり
質問2:「見積もり上、職人さん1人あたりの人工単価(日当)はいくらで計算されていますか?」
この質問の意図:
人件費の内訳を透明にし、見積もり金額の妥当性を判断します。
人工単価の相場:
- 全国平均:15,000〜20,000円
- 都市部(首都圏等):18,000〜22,000円
- 熟練職人・高所作業:20,000円以上
信頼できる回答例:
「当社では職人1人1日あたり約18,000円で算出しています。地域相場もだいたい15,000〜20,000円程度です」
要注意な回答:
- 「もっと安い日当でできますよ」 → 工程省略や人員不足のリスク
- 根拠なく高額な単価 → 中間マージン上乗せの可能性
質問3:「実際に施工を行うのは御社の自社職人ですか?それとも下請けの業者ですか?」
この質問の意図:
工事を担当する職人の所属を確認し、施工管理の質や責任の所在を見極めます。
信頼できる回答例:
「当社の経験豊富な社員職人が最初から最後まで担当します」
自社施工のメリット:
- 責任感を持って丁寧に作業する傾向
- アフターサポートが一貫
- 現場での融通が利く
要注意な回答:
- 「提携の職人が施工します」(曖昧)
- 回答を濁す
→ 実質的に下請け任せで、現場管理が不透明な可能性
質問4:「見積書の内容ですが、一式表記ではなく詳細な内訳を出していただけますか?」
この質問の意図:
見積もり項目の内訳(特に人工費部分)が明確かどうかを確認し、費用の透明性を測ります。
信頼できる回答例:
「一式ではなく、高圧洗浄や下地処理、塗装工程ごとに単価と数量で細かくお出しできます」
理想的な見積書の記載例:
- 高圧洗浄:150㎡ × 200円 = 30,000円
- 下地補修:Vカット工法 20箇所 × 3,000円 = 60,000円
- シーリング打ち替え:80m × 1,200円 = 96,000円
- 外壁塗装(シリコン3回塗り):150㎡ × 2,800円 = 420,000円
要注意な回答:
- 「見積額はだいたい一式で○○円です」
- 内訳の提示を渋る
→ 追加費用や手抜き工事の温床になりやすい
質問5:「各作業工程ごとの所要日数・人員はどれくらいの計画ですか?」
この質問の意図:
工程ごとに十分な手間(人工)をかけて施工してくれるか確認します。特に下地処理や養生、塗装の塗り重ね回数など、手抜きされやすい部分にどれくらい労力を割く予定かを聞きます。
信頼できる回答例:
「高圧洗浄に1日、下地処理に2〜3日、養生に1日、塗装は職人2人で3〜4日かけて下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りを行います。各工程で十分乾燥時間もとります」
30坪住宅の標準的な人工配分:
- 高圧洗浄:1人工
- 下地処理:2〜5人工
- 養生:1〜2人工
- 塗装(3回塗り):6人工程度
- 合計:約15〜20人工
要注意な回答:
- 「下地処理は簡単に済ませてすぐ塗装に入ります」
- 工程ごとの日数を答えられない
→ 十分な下地処理をしなかったり塗り回数を省略するリスク
人工数・人工単価の相場を知っておこう
必要人工数の目安
- 25坪:15〜20人工 → 人件費目安 27〜40万円
- 30坪:20〜25人工 → 人件費目安 36〜50万円
- 40坪:25〜30人工 → 人件費目安 45〜60万円
※人工単価18,000〜20,000円で計算
人件費から総工事費を逆算する
人件費は総工事費の30〜50%を占めます。
例:人件費40万円の場合 → 総工事費は80〜130万円程度が妥当
チェック方法:
見積もり総額 ÷ 必要人工数 = 1人工あたりの費用
この数値が3〜5万円程度なら、材料費・足場代・諸経費を含めて妥当な範囲です。
人工視点で見積書をチェックする3つのポイント
チェック1:「一式」表記ばかりではないか?
「○○工事一式××円」だけでは、各項目にいくらの人件費がかかるのか不明瞭です。
確認すべき項目:
- 高圧洗浄費
- 下地処理費
- シーリング工事費(打ち替え or 増し打ち)
- 塗装費(○回塗り)
- 足場費
- 諸経費
これらが個別に記載されているか確認しましょう。
チェック2:必要な工程が網羅されているか?
以下の工程が見積書に記載されていなければ、適正な人工をかけた施工が行われない可能性があります。
- 高圧洗浄がない → 汚れの上から塗装→密着不良
- 下地補修がない → クラック放置→水の浸入
- シーリングがない → 劣化放置→構造材への影響
- 下塗り・中塗り・上塗りがない → 塗り回数省略→耐久性低下
チェック3:諸経費が適正か?
「諸経費」「現場管理費」は必要経費ですが、相場は総額の5〜15%程度です。
これを大幅に超える場合は、人件費の上乗せになっていないか確認しましょう。
こんな業者には要注意!
人件費を削る業者の特徴
- 「職人1人で十分」と言う → 作業時間逼迫→手抜き
- 工期が異常に短い → 乾燥時間不足→剥離
- 大幅値引きを提示 → 人員削減で補填→品質低下
- 人工数・日数を答えられない → 計画性がない
大幅値引きの裏に潜むリスク
他社より極端に安い見積もりを提示する業者は、削った分のコストを人件費の圧縮で補おうとする恐れがあります。
実際の事例:
- 「職人は1人だけで来た」
- 「下塗りと上塗りを1日でやってしまった」
- 「乾燥時間を取らずに重ね塗りされた」
適正な施工にはそれ相応の人件費が必要という点を忘れないでください。
質問への回答を比較する方法
3社以上から見積もりを取り、同じ質問を投げかけて比較しましょう。
比較表の例:
A社:職人2人×10日、人工単価18,000円、自社職人、工程別明細あり、具体的に説明
B社:職人1人×7日、人工単価回答なし、下請け、一式のみ、曖昧
C社:職人2人×12日、人工単価20,000円、自社職人、工程別明細あり、具体的に説明
この比較で、明確に回答できない業者は除外しましょう。
まとめ:「人工」を聞けば業者の本質が見える
この記事のポイント
- 「人工」は業者の信頼性を見抜く最強の視点
- 5つの質問で計画性・誠実さ・施工姿勢を判断
- 人工単価の相場は15,000〜20,000円/日
- 30坪住宅なら20〜25人工が目安
- 「一式」表記だけの見積書は要注意
- 大幅値引きの裏には人件費削減のリスク
業者選びで迷ったら、「人工」に関する質問を投げかけてみてください。明確に答えられる業者は、計画性があり信頼できます。
見積書の「人工」、正しく評価できていますか?
「業者の回答が正しいのか判断できない」
「見積書の人件費が適正か分からない」
「3社の見積もりを比較したいけど、どこを見ればいい?」
そんな方は、50年の塗装経験を持つ現役職人による見積書診断をご活用ください。
診断では以下をチェックします:
- 人工数は適正か?(建物規模に対して必要な人工が確保されているか)
- 人工単価は相場内か?(安すぎ・高すぎの判定)
- 工程ごとの人工配分は妥当か?(下地処理に十分な手間がかけられているか)
- 「一式」表記の裏に隠れた問題はないか?
「人工」の視点から、見積書の信頼性を評価します。
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