「下塗りの後、すぐに中塗りしても大丈夫?」
外壁塗装の品質を左右する最大の要因は、実は「乾燥時間」です。
塗料メーカーが定める乾燥時間を守らずに塗り重ねると、どんなに高級な塗料を使っても、膨れや剥がれの原因になります。しかし、乾燥時間は気温や湿度によって大きく変わるため、施主が確認するのは難しいと思われがちです。
この記事では、塗装業50年の経験から、乾燥時間の確認方法と、気温・湿度別の目安表を【保存版】として解説します。
この記事で分かること
- 乾燥時間とは何か
- なぜ乾燥時間が重要なのか
- 気温・湿度別の乾燥時間目安表【保存版】
- 季節ごとの注意点
- 乾燥時間を確認する方法
- 乾燥不足で起こる不具合
乾燥時間とは何か
塗り重ね乾燥時間(インターバル)
外壁塗装では、「下塗り→中塗り→上塗り」と3回塗りを行います。
この塗り重ねの間に必要な待ち時間を「乾燥時間」または「インターバル」と呼びます。
注意:これは一般的な目安です。実際の乾燥時間は、塗料の種類、気温、湿度、日当たりによって大きく変わります。
完全乾燥と指触乾燥
乾燥には段階があります。
塗り重ねに必要なのは「硬化乾燥」の段階です。指で触って乾いているように見えても、内部が乾燥していないことがあります。
なぜ乾燥時間が重要なのか
乾燥不足が品質を左右する
乾燥時間は、外壁塗装の品質を左右する最重要ポイントの一つです。
私の著書『塗装方程式』でも触れていますが、乾燥時間を守ることが高品質のカギです。
乾燥が不十分なまま次の塗料を重ねると、以下の問題が発生します。
- 塗膜の膨れ:内部の水分や溶剤が蒸発しようとして膨れる
- 塗膜の剥がれ:層間の密着が悪く、剥離する
- ひび割れ:内部と表面の乾燥速度の差でクラックが発生
- 色ムラ:乾燥が不均一で仕上がりにムラが出る
- 耐久性の低下:塗膜の性能が十分に発揮されない
「1日1工程」が理想
理想的には、「1日1工程」が望ましいとされています。
- 1日目:下塗り
- 2日目:中塗り
- 3日目:上塗り
これにより、塗膜内部までしっかり乾燥し、各層が強固に密着します。
注意:「今日中に3回塗ります」という業者は要注意です。同じ日に3回塗ると、乾燥時間が絶対に足りません。
気温・湿度別の乾燥時間目安表【保存版】
基本の乾燥時間
塗料メーカーの標準的な指示は、気温23℃・湿度50%を基準にしています。
この条件での標準乾燥時間は3〜4時間以上です。
しかし、気温や湿度が変わると、乾燥時間も変わります。
【保存版】気温別・乾燥時間の目安表
【保存版】湿度別・乾燥時間の目安表
【保存版】気温×湿度 クロス表
最も実用的な気温×湿度のクロス表です。印刷して保存しておくと便利です。
NG = 塗装すべきではない条件
季節ごとの注意点
春(3月〜5月)
気温:10〜25℃ / 湿度:50〜70%
春は塗装に最適な季節の一つです。
注意点:
- 朝晩の寒暖差が大きい
- 朝露で外壁が濡れていることがある
- 花粉や黄砂が付着しやすい
乾燥時間の目安:
- 日中(15〜20℃):5〜6時間
- 朝・夕方(10〜15℃):6〜8時間
夏(6月〜8月)
気温:25〜35℃ / 湿度:60〜80%
夏は乾燥が早いですが、梅雨と高湿度に注意が必要です。
注意点:
- 梅雨時期(6月〜7月)は湿度が高く、塗装に不向き
- 気温が高すぎると、表面だけ先に乾いて内部が乾かない
- 直射日光が強い面は、午後に塗装を避ける
- 夕立・ゲリラ豪雨に注意
乾燥時間の目安:
- 梅雨以外(25〜30℃):3〜4時間
- 梅雨時期(湿度80%以上):塗装を避ける
秋(9月〜11月)
気温:10〜25℃ / 湿度:50〜70%
秋は春と並んで塗装に最適な季節です。
注意点:
- 台風シーズン(9月〜10月)は天候の急変に注意
- 11月は日照時間が短く、作業時間が限られる
- 朝晩の冷え込みに注意
乾燥時間の目安:
- 日中(15〜20℃):5〜6時間
- 11月後半(10〜15℃):6〜8時間
冬(12月〜2月)
気温:0〜10℃ / 湿度:40〜60%
冬は最も注意が必要な季節です。
注意点:
- 気温5℃以下では塗装NG
- 日陰や北側の面は特に乾燥が遅い
- 凍結の恐れがある早朝・夕方は塗装を避ける
- 日照時間が短く、作業時間が限られる
乾燥時間の目安:
- 日中(10〜15℃):8〜12時間以上
- 気温5〜10℃:1日1工程を厳守
- 気温5℃以下:塗装NG
冬場の重要ポイント:
私の著書『外壁塗装の不都合な真実』でも触れていますが、冬の凍てついた朝に北側や日が当たらない裏側を塗るような業者は要注意です。気温条件を無視しています。
乾燥時間を確認する方法
方法1:工程表で確認する
工程表を見て、各工程の間隔を確認しましょう。
確認ポイント:
- 下塗り→中塗り:最低1日空いているか
- 中塗り→上塗り:最低1日空いているか
- 同じ日に3回塗りの予定になっていないか
要注意パターン:
- 「下塗り・中塗り」が同じ日
- 「3回塗り完了」が1日で終わる
- 極端に短い工期(30坪で5日以内など)
方法2:職人に質問する
直接、職人に乾燥時間について質問しましょう。
聞き方の例:
「昨日下塗りをされていましたが、今日の中塗りまで何時間くらい乾燥時間を取っているんですか?」
「この塗料、乾燥にどれくらい時間がかかるものなんですか?」
良い回答の例:
- 「昨日の16時に塗り終わったので、今日の10時で18時間ほど経っています。十分乾燥しています」
- 「この塗料は気温20℃で4時間以上必要なので、余裕を見て1日置いています」
悪い回答の例:
- 「すぐ乾くから大丈夫ですよ」
- 「乾燥時間?気にしなくていいですよ」
- 「触って乾いていればOKです」
方法3:塗料の缶(カタログ)で確認する
塗料メーカーのカタログや缶の表示には、乾燥時間が記載されています。
確認ポイント:
- 「塗り重ね乾燥時間」または「塗装間隔」の項目
- 気温ごとの乾燥時間(23℃、5℃など複数記載されていることが多い)
例:日本ペイント パーフェクトトップの場合
- 23℃:3時間以上
- 5℃:8時間以上
方法4:天気予報で気温・湿度を確認する
工事期間中は、毎日の天気予報をチェックしましょう。
確認ポイント:
- 最高気温・最低気温
- 湿度
- 降水確率
- 翌日以降の予報
便利なツール:
- スマホの天気アプリ(時間ごとの気温・湿度が見られる)
- Yahoo!天気(1時間ごとの予報)
- 気象庁のサイト(詳細なデータ)
乾燥不足で起こる不具合
不具合1:塗膜の膨れ(ブリスター)
症状:塗膜が風船のように膨らむ
原因:
- 下塗りが乾燥する前に中塗りを重ねた
- 内部の水分や溶剤が蒸発しようとして膨れる
発生時期:塗装後数日〜数ヶ月
不具合2:塗膜の剥がれ(ピーリング)
症状:塗膜がめくれて剥がれる
原因:
- 層間の密着不良
- 乾燥不足で塗膜同士がくっついていない
発生時期:塗装後数ヶ月〜1年
不具合3:ひび割れ(クラッキング)
症状:塗膜に細かいひび割れが入る
原因:
- 表面だけ先に乾燥し、内部との収縮差でひび割れ
- 厚塗りによる乾燥ムラ
発生時期:塗装後数週間〜数ヶ月
不具合4:白化(ブラッシング)
症状:塗膜が白っぽくなる
原因:
- 高湿度時に塗装し、水分が塗膜内に閉じ込められた
- 結露の上から塗装した
発生時期:塗装直後
不具合5:色ムラ・ツヤムラ
症状:色やツヤが均一でない
原因:
- 乾燥が不均一
- 塗り重ねのタイミングが早すぎた
発生時期:塗装直後〜数日後
乾燥時間に関するよくある質問(FAQ)
Q. 「指で触って乾いていればOK」と言われましたが…
A. それは危険な考え方です。「指触乾燥」と「硬化乾燥」は違います。表面が乾いているように見えても、内部はまだ乾燥していないことがあります。必ず塗料メーカーの指定時間を守ってもらいましょう。
Q. 乾燥時間を短縮する方法はありますか?
A. 基本的にはありません。乾燥時間は塗料の化学反応によって決まるため、短縮することはできません。ただし、気温が高く湿度が低い条件では、乾燥は早くなります。逆に、冬場や雨天では長くかかります。
Q. 雨が降った翌日に塗装しても大丈夫?
A. 外壁が乾燥していれば大丈夫です。ただし、雨の翌日は外壁が湿っていることがあります。特に北側や日陰の面は乾きにくいので、十分に乾燥を確認してから塗装を開始すべきです。
Q. 夏なら乾燥が早いので、すぐ次を塗っても大丈夫?
A. 早ければ良いわけではありません。夏場は乾燥が早いですが、気温が高すぎると「表面だけ先に乾いて内部が乾かない」という問題が起きます。特に直射日光が当たる面は、午前中や夕方に塗装するなどの工夫が必要です。
Q. 冬場の塗装は避けた方がいい?
A. 必ずしも避ける必要はありませんが、注意が必要です。気温5℃以上、湿度85%以下であれば塗装可能です。ただし、乾燥時間が長くなるため、工期も長くなります。また、日陰や北側の面は特に注意が必要です。冬場に塗装する場合は、乾燥時間を十分に確保できる業者を選びましょう。
Q. 塗料の缶に書いてある乾燥時間と違う時間を言われました…
A. 塗料の缶やカタログの記載が正しいです。職人が「経験上、これで大丈夫」と言っても、メーカーの指定を守らないと保証の対象外になることがあります。不安な場合は、塗料メーカーのカタログを確認しましょう。
乾燥時間チェックリスト【保存版】
工事中に確認すべき乾燥時間のチェックリストです。
契約前の確認
- [ ] 工程表に「下塗り」「中塗り」「上塗り」が別の日に設定されているか
- [ ] 極端に短い工期(30坪で5日以内など)ではないか
- [ ] 「1日で3回塗り」という予定ではないか
工事中の確認
- [ ] 下塗り→中塗りの間隔:最低4時間以上(冬場は8時間以上)
- [ ] 中塗り→上塗りの間隔:最低4時間以上(冬場は8時間以上)
- [ ] 気温5℃以上で塗装しているか
- [ ] 湿度85%以下で塗装しているか
- [ ] 雨天・小雨時に塗装していないか
- [ ] 北側・日陰の面は乾燥時間を長めに取っているか
季節別の注意点
- [ ] 冬場(12〜2月):気温5℃以下では塗装していないか
- [ ] 梅雨時期(6〜7月):湿度85%以上の日は塗装を中止しているか
- [ ] 夏場(7〜8月):直射日光が強い時間帯を避けているか
- [ ] 朝・夕方:露や結露で外壁が濡れていないか確認しているか
まとめ:乾燥時間は品質の要
乾燥時間は、外壁塗装の品質を左右する最重要ポイントです。
乾燥時間の基本:
- 標準:3〜7時間以上(気温23℃・湿度50%の場合)
- 冬場:8〜12時間以上
- 理想:「1日1工程」
塗装NGの条件:
- 気温5℃以下
- 湿度85%以上
- 雨天・小雨
確認方法:
- 工程表で各工程の間隔を確認
- 職人に乾燥時間を質問
- 塗料の缶(カタログ)で確認
- 天気予報で気温・湿度を確認
「すぐ乾くから大丈夫」という業者は要注意です。乾燥時間をきちんと守る業者を選びましょう。
施工管理アプリで乾燥時間を管理
施工管理アプリでは、乾燥時間の管理機能があります。
- 各工程の完了時刻を記録
- 気温・湿度データと連動
- 次の工程開始可能時刻を自動計算
- 乾燥時間不足の場合はアラート通知
「乾燥時間がちゃんと取られているか不安…」という方も、アプリで確認できます。
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この記事は、塗装業50年の経験を持つ職人監修のもと作成されています。
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