外壁塗装の契約時に「工程表」をもらったものの、見方がよく分からない。そんな方は多いのではないでしょうか。
工程表を正しく読めれば、工事の遅れを早期に発見し、適切な対応を取ることができます。
外壁塗装は天候に左右されやすく、予定通りに進まないことも珍しくありません。しかし、遅れの原因が「天候」なのか「人手不足」なのか「手抜き」なのかで、施主が取るべき対応は変わります。
この記事では、塗装業50年の経験をもとに、工程表の基本的な見方から、遅れを早期発見するチェックポイント、遅れた場合の対処法までを解説します。
この記事で分かること
- 外壁塗装の標準的な工期と工程表の見方
- 各工程にかかる日数の目安
- 遅れが発生しやすい5つのポイント
- 遅れを早期発見するチェック方法
- 遅れた場合の正しい対処法
外壁塗装の標準的な工期
30坪住宅で10〜14日が目安
外壁塗装の工期は、建物の大きさや状態によって異なりますが、一般的な30坪(約100㎡)の戸建て住宅であれば10〜14日が標準的な目安です。
屋根塗装も含める場合は、12〜17日程度を見込みます。
工期が極端に短い場合は要注意
「5日で終わります」「1週間で完了します」
このような極端に短い工期を提示された場合は注意が必要です。工期が短いということは、どこかの工程が省略されているか、乾燥時間が十分に確保されていない可能性があります。
私たちが提唱する「塗装方程式」では、品質 = モチベーション × 技術 × 時間と考えます。時間を削れば、品質は必ず低下します。
工程表の基本的な見方
工程表の形式
工程表は主に以下の形式で作成されます。
1. ガントチャート形式
横軸に日付、縦軸に工程を配置し、各工程の開始日と終了日を棒グラフで表現します。最も一般的な形式で、全体の流れが把握しやすいのが特徴です。
2. カレンダー形式
カレンダーに各日の作業内容を記載する形式です。「○月○日:高圧洗浄」のように、日ごとの作業が分かりやすくなっています。
3. リスト形式
工程と予定日を箇条書きで並べたシンプルな形式です。簡易的ですが、詳細な進捗管理には向きません。
工程表で確認すべき5つのポイント
工程表を受け取ったら、以下の5点を確認しましょう。
① 全体の工期
契約書に記載された工期と一致しているか確認します。口頭での説明と工程表の日数が異なる場合は、業者に確認が必要です。
② 各工程の日数配分
後述する「各工程の標準日数」と比較し、極端に短い工程がないか確認します。
③ 乾燥日の有無
高圧洗浄後、下塗り後、中塗り後には乾燥時間が必要です。これらの「乾燥日」が工程表に含まれているか確認します。
④ 予備日の有無
天候不良に備えた予備日が設定されているか確認します。予備日がない工程表は、雨が降るたびにスケジュールが崩れます。
⑤ 土日・祝日の扱い
工事が土日祝日も行われるのか、休みなのかを確認します。近隣への配慮から、土曜日のみ作業、日曜は休みというケースも多いです。
各工程の標準日数
工程別の目安時間
30坪住宅を基準とした、各工程の標準的な日数です。
準備・仮設工程:
- 近隣挨拶:着工前(工事開始の3〜7日前)
- 足場仮設:0.5〜1日
- 養生:0.5〜1日
- 高圧洗浄:0.5〜1日
- 洗浄後乾燥:1〜2日(最低24時間、理想は48時間)
下地処理工程:
- ケレン・下地調整:1〜2日
- クラック補修:0.5〜1日
- コーキング:1〜2日(打ち替えは時間がかかる)
塗装工程:
- 外壁下塗り:1日
- 下塗り乾燥:0.5〜1日(最低4時間)
- 外壁中塗り:1日
- 中塗り乾燥:0.5〜1日(最低4時間)
- 外壁上塗り:1日
- 屋根塗装:2〜3日
付帯部・仕上げ工程:
- 付帯部塗装:1〜2日
- 完了検査・手直し:0.5〜1日
- 足場解体・清掃:0.5〜1日
工期に影響を与える要因
標準日数はあくまで目安です。以下の要因で工期は変動します。
延びる要因:
- 建物が大きい(40坪以上)
- 外壁の劣化が激しい
- クラックやコーキング劣化が多い
- 複雑な形状(凹凸が多い)
- 梅雨・台風シーズン
短くなる要因:
- 建物が小さい(20坪以下)
- 外壁の状態が良い
- シンプルな形状
- 好天が続く
遅れが発生しやすい5つのポイント
1. 高圧洗浄後の乾燥
遅れやすい理由:
高圧洗浄後は外壁が水を含んでいるため、完全に乾燥するまで下塗りができません。天候が悪いと乾燥に2〜3日かかることもあります。
チェックポイント:
洗浄翌日に下塗りが予定されている場合、本当に乾燥しているか確認が必要です。業者に「乾燥は十分ですか?」と聞いてみましょう。
2. 下地処理(クラック補修・コーキング)
遅れやすい理由:
見積もり時には見えなかったクラックや、予想以上に劣化したコーキングが見つかることがあります。追加の補修が必要になると、1〜2日の遅れが発生します。
チェックポイント:
下地処理の段階で「追加の補修が必要」と言われたら、内容と追加日数を確認しましょう。
3. 塗装工程の乾燥時間
遅れやすい理由:
気温が低い日(10℃以下)や湿度が高い日は、塗料の乾燥に通常の2〜3倍の時間がかかります。冬場や梅雨時期は特に注意が必要です。
チェックポイント:
「今日は乾燥が遅いので、次の工程は明日に延期します」という連絡は、品質を守るための正当な判断です。
4. 雨天による中断
遅れやすい理由:
塗装工事は雨天では行えません。雨が降ると作業は中断し、乾燥を待つ必要があります。梅雨時期は1週間以上の遅れが発生することもあります。
チェックポイント:
天気予報と工程表を照らし合わせ、雨予報の日に塗装作業が予定されていないか確認しましょう。
5. 職人の手配
遅れやすい理由:
複数の現場を掛け持ちしている業者の場合、他の現場の遅れが波及することがあります。「職人が来ない日」が発生すると、工期が延びます。
チェックポイント:
工事が始まったのに数日間誰も来ない場合は、業者に理由を確認しましょう。
遅れを早期発見するチェック方法
毎日の進捗確認
工程表と実際の進捗を毎日照らし合わせることで、遅れを早期に発見できます。
確認すべき項目:
- 今日予定されていた工程は完了したか
- 明日の予定工程に変更はないか
- 天候による影響はないか
「1日遅れ」の段階でアラートを出す
遅れは累積します。「1日くらいなら」と放置すると、気づいた時には1週間の遅れになっていることも。
1日でも遅れたら、以下を確認:
- 遅れの原因(天候・作業量・職人手配)
- 取り戻せる見込みがあるか
- 全体の完了予定日に影響するか
施工管理アプリの活用
毎日現場に行くのは難しいという方には、施工管理アプリの活用をおすすめします。
アプリでできること:
- カンバンボードで進捗を可視化
- 工程完了時にLINE通知
- 写真記録で作業内容を確認
- 天候と工程の照らし合わせ
スマホで進捗を確認できるので、仕事中でも遅れに気づくことができます。
遅れた場合の正しい対処法
遅れの原因を確認する
まずは、なぜ遅れているのかを業者に確認しましょう。原因によって、取るべき対応が異なります。
天候による遅れ:
これは仕方がありません。無理に工期を縮めようとすると、乾燥不足など品質に影響します。予備日を使って調整するのが正しい対応です。
追加作業による遅れ:
クラック補修の追加など、品質のために必要な作業であれば、受け入れるべきです。ただし、追加費用が発生する場合は事前に確認しましょう。
職人手配による遅れ:
業者側の都合による遅れです。理由と今後の見通しを確認し、必要であれば改善を求めましょう。
「短縮」を求めない
遅れた分を「急いで取り戻してほしい」と要求するのは危険です。
工期短縮は、以下の品質低下につながります:
- 乾燥時間の不足
- 塗り重ねの省略
- 仕上げの雑さ
遅れが発生しても、「品質を落とさずに完了させてください」というスタンスが大切です。
書面で記録を残す
遅れの理由と新しい完了予定日は、口頭ではなく書面(メール・LINE)で確認しましょう。
記録すべき内容:
- 遅れの発生日と原因
- 新しい完了予定日
- 追加費用の有無
後々のトラブル防止につながります。
工程表を活用した品質チェック
工程表と写真記録をセットで管理
工程表だけでは「何が行われたか」は分かりません。各工程の完了時に写真を撮影してもらい、工程表とセットで管理しましょう。
特に写真を残すべき工程:
- 高圧洗浄前後
- 下地補修の状況
- 下塗り完了時
- 中塗り完了時
- 上塗り完了時(色違いの場合)
「見えなくなる工程」は特に注意
以下の工程は、上塗りが完了すると確認できなくなります。
- 高圧洗浄の徹底度
- クラック補修の処理
- 下塗りの塗布状況
- 中塗りの実施
これらの工程が「予定通り」実施されたか、写真で確認する習慣をつけましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 工程表をもらえない場合はどうすればいいですか?
A. 契約前に「工程表をください」と依頼しましょう。工程表を出せない業者は、計画性に不安があります。契約後であれば、「進捗を把握したいので」と理由を伝えて依頼してください。
Q. 予定より早く終わりそうです。大丈夫でしょうか?
A. 早く終わること自体は問題ありませんが、乾燥時間が確保されているか確認しましょう。「予定より3日早く終わります」という場合、どこかの工程が省略されている可能性もあります。
Q. 雨で1週間以上工事が止まっています。どうすればいいですか?
A. 梅雨時期や台風シーズンでは起こり得ることです。業者に天候回復後のスケジュールを確認し、足場の安全点検が行われているかも確認しましょう。
Q. 工程表と違う順番で作業が進んでいます。問題ありますか?
A. 軽微な順番変更(付帯部塗装と外壁塗装の順序など)は現場判断で行われることがあります。ただし、下塗り→中塗り→上塗りの順序が変わることは絶対にありません。大きな変更があれば理由を確認しましょう。
Q. 完了予定日を過ぎても終わりません。違約金は請求できますか?
A. 契約書に遅延に関する条項があれば、それに従います。ただし、天候による遅れは不可抗力として免責されることが多いです。業者都合の遅れであれば、交渉の余地があります。
まとめ:工程表は「施主の羅針盤」
工程表は、外壁塗装という航海の「羅針盤」です。
現在地(進捗)を把握し、目的地(完了)までの道のりを確認するためのツール。正しく読み解くことで、遅れを早期に発見し、品質を守ることができます。
工程表活用のポイント:
- 受け取ったら5つのポイントを確認(工期・日数配分・乾燥日・予備日・休日)
- 各工程の標準日数と比較し、極端に短い工程がないか確認
- 毎日の進捗を工程表と照らし合わせ、1日の遅れで早期発見
- 遅れの原因を確認し、品質を落とす「短縮」は求めない
- 写真記録とセットで管理し、見えなくなる工程を残す
工程表を「もらって終わり」にせず、工事完了まで活用しましょう。
施工管理アプリで工程を可視化する
工程表の管理をもっと簡単にしたい方には、施工管理アプリの活用をおすすめします。
21工程のカンバンボード、LINE通知、写真記録機能で、スマホから進捗を確認。遅れが発生したらすぐに気づけます。
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この記事は、塗装業50年の経験を持つ職人監修のもと作成されています。
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