「本当に3回塗りしてくれているのかな…」
外壁塗装を依頼した施主の多くが抱える不安です。
結論から言うと、中塗りと上塗りを写真で見分けるのは、素人には極めて困難です。
なぜなら、中塗りと上塗りは基本的に同じ塗料を使うからです。同じ色の塗料を2回重ねても、写真では違いが分かりません。
しかし、「見分けられない」で終わらせてはいけません。
この記事では、塗装業50年の経験から、中塗りと上塗りを確実に区別するための「事前の対策」と、工事中に3回塗りを確認する方法を解説します。
この記事で分かること
- なぜ中塗りと上塗りは見分けにくいのか
- 中塗りを省く手抜きが発生する理由
- 中塗りと上塗りを区別するための「色分け」対策
- 写真以外で3回塗りを確認する方法
- 施工管理アプリでの確認方法
なぜ中塗りと上塗りは見分けにくいのか
同じ塗料を2回塗る
外壁塗装の「3回塗り」は、以下の構成になっています。
- 下塗り:シーラー・フィラー等 → 密着性を高める
- 中塗り:仕上げ塗料 → 塗膜の厚みを確保
- 上塗り:仕上げ塗料(同じ) → 均一な仕上がり・保護
ポイントは、中塗りと上塗りは同じ塗料を使うということです。
同じ色の塗料を2回重ねるため、写真で見ても「1回目」と「2回目」の違いは分かりません。塗った本人でさえ、乾燥後は区別が困難なことがあります。
日光の反射で見えにくい
私の著書『外壁塗装の不都合な真実』でも触れていますが、日が当たって反射すると、どこまで塗ったか本当に分かりにくくなります。
特に白系や淡い色の塗料は、光の加減で塗りムラも見えにくくなります。職人でさえ「ここ塗ったっけ?」となることがあるほどです。
乾燥後は見た目が変わらない
塗料は乾燥すると、塗り重ねた層が一体化します。
中塗りの上に上塗りを重ねても、断面を見ない限り「2層になっている」ことは確認できません。完成後に「本当に3回塗った?」と聞かれても、見た目だけでは証明できないのです。
中塗りを省く手抜きが発生する理由
見えないから省ける
外壁塗装で最も多い手抜きの一つが「中塗りの省略」です。
なぜこの手抜きが横行するのか?理由は単純で、塗ってしまえば分からないからです。
下塗り(シーラー)は透明や白色のことが多く、仕上げ塗料とは明らかに色が違います。下塗りを省けば、仕上がりの色味や密着性に問題が出るため、すぐに発覚します。
しかし、中塗りと上塗りは同じ色。2回塗っても1回塗っても、見た目は同じです。
時間と人件費の削減
中塗りを省けば、1日分の工程を短縮できます。
乾燥時間も含めると、実質1.5〜2日分の時間短縮。人件費にして2〜3万円のコストカットになります。
悪質な業者は、この「見えない」コストカットを繰り返し、利益を上げています。
発覚するのは数年後
中塗りを省いた外壁は、塗膜が薄いため3〜5年で劣化が始まります。
本来10年持つはずの塗装が、半分の期間で色あせやチョーキング(白い粉が出る現象)を起こします。しかし、その頃には業者と連絡が取れなかったり、保証期間が終わっていたり…
手抜きの因果関係を証明するのは極めて困難なのです。
中塗りと上塗りを区別する「色分け」対策
契約時に「色分け」を依頼する
最も確実な対策は、中塗りと上塗りの色を変えてもらうことです。
私の著書でも推奨していますが、契約時に以下をお願いしましょう。
「中塗り後、上塗りを行う時は、開始前に一声かけてもらうこと。また、ほんの少しだけ色を変えてもらうこと。」
「ほんの少し」というのがポイントです。仕上がりの色に影響しない程度に、中塗りの色を少し濃く(または薄く)するのです。
色分けの方法
色分けには主に2つの方法があります。
方法1:同系色で濃淡を変える
- 上塗り:指定色(例:ベージュ)
- 中塗り:同系色の少し濃い色(例:濃いベージュ)
方法2:塗料メーカーの専用システムを使う
一部のメーカーでは、中塗り用と上塗り用で意図的に色を変える塗料システムを提供しています。これを使えば、施工写真で中塗りと上塗りの区別が一目瞭然になります。
色分けのメリット
色分けすることで、以下のメリットがあります。
- 職人の塗り残しを防げる:職人自身も「ここは塗った」と視認できる
- 写真で区別できる:中塗り完了時と上塗り完了時の写真が明確に違う
- 手抜きの抑止力になる:「見られている」意識が職人に働く
色分けを渋る業者は要注意です。理由がなければ断る意味がありません。
写真以外で3回塗りを確認する方法
色分けができない場合でも、3回塗りを確認する方法はあります。
方法1:塗料缶の数を確認する
最も確実な方法は、使用した塗料缶の数を確認することです。
塗料メーカーの仕様書には、「○○㎡に対して○缶必要」という塗布量が記載されています。あなたの家の外壁面積に対して、理論上必要な缶数を事前に計算しておきましょう。
確認方法:
- 見積書から外壁面積を確認
- 塗料メーカーのカタログで塗布量を確認
- 必要缶数を計算
- 工事完了後、空き缶の数を確認
空き缶の数が計算より明らかに少なければ、塗り回数が足りないか、塗料を薄めている可能性があります。
方法2:工程ごとの写真を要求する
契約時に、「下塗り完了」「中塗り完了」「上塗り完了」それぞれの写真を撮影してもらうよう依頼しましょう。
色分けしていない場合でも、写真のタイムスタンプ(撮影日時)で、3回に分けて塗装したことは確認できます。
撮影してもらうべき写真:
- 下塗り完了時(全景+近景)
- 中塗り完了時(全景+近景)
- 上塗り完了時(全景+近景)
- 使用した塗料缶(ラベルが見えるように)
方法3:乾燥時間を確認する
3回塗りをするには、各工程の間に乾燥時間が必要です。
塗料メーカーの仕様書には「塗り重ね可能時間」が記載されています。一般的には3〜7時間以上の乾燥時間が必要です。
確認ポイント:
- 中塗りと上塗りが同じ日に終わっていないか
- 工程表と実際の進行に大きな乖離がないか
- 乾燥時間を考慮したスケジュールになっているか
「1日で中塗りと上塗り両方終わりました」という報告があったら、乾燥時間が足りていない可能性があります。
方法4:現場を訪問する
可能であれば、中塗り完了時と上塗り開始時に現場を訪問しましょう。
中塗り完了時に現場を確認し、翌日以降に上塗りが始まっているか確認する。これだけで「2回塗った」ことの証拠になります。
現場訪問が難しい場合は、リアルタイムで写真を送ってもらう方法も有効です。
施工管理アプリでの確認方法
施工管理アプリを使えば、中塗りと上塗りの管理がより確実になります。
工程ごとのチェックポイント
施工管理アプリには、21工程それぞれにチェックポイントが設定されています。
中塗り・上塗りの工程では、以下が自動的にチェックされます。
- 中塗り完了の写真が登録されているか
- 乾燥時間が十分に確保されているか
- 上塗り開始前に通知が来る
職人が「中塗り完了」ボタンを押すと、施主のLINEに通知が届きます。その後、乾燥時間を考慮したタイミングで「上塗り開始」の通知が届くため、工程の省略が物理的に難しくなります。
塗料計算機能
施工管理アプリには、塗料の必要缶数を自動計算する機能があります。
外壁面積と塗料の塗布量から理論上の必要缶数を算出。実際に使用した缶数と比較することで、適正量の塗料が使われているか確認できます。
写真のタイムスタンプ管理
アップロードされた写真には、撮影日時が自動で記録されます。
「中塗り完了」の写真が11月1日、「上塗り完了」の写真が11月3日であれば、間に乾燥時間を取っていることが明らかです。同じ日に両方の写真がアップされていれば、乾燥時間が不十分な可能性があります。
契約時に確認すべきこと
3回塗りを確実に実施してもらうために、契約時に以下を確認・依頼しましょう。
契約書に明記されているか
「3回塗り」「下塗り・中塗り・上塗り」という工程が、契約書または見積書に明記されているか確認しましょう。
「塗装工事一式」では、何回塗るか分かりません。必ず工程ごとの記載を求めてください。
色分けの依頼
「中塗りと上塗りの色を少し変えてください」とお願いしましょう。
追加費用がかかることは通常ありません。渋る業者は、何か理由があるかもしれません。
工程写真の提出
「下塗り・中塗り・上塗り、それぞれ完了時の写真を提出してください」と依頼しましょう。
優良業者であれば、自ら提案してくることも多いです。
空き缶の確認
「使用した塗料の空き缶を見せてください」とお願いしましょう。
計算上の必要缶数と実際の使用量を比較することで、適正な塗布量かどうか確認できます。
よくある質問(FAQ)
Q. 色分けすると仕上がりの色に影響しませんか?
A. ほんの少しの濃淡であれば、上塗りで覆われるため仕上がりには影響しません。心配な場合は、塗料メーカーに問い合わせることもできます。
Q. 色分けを断られた場合はどうすれば?
A. 「色分けできない理由」を確認しましょう。正当な理由がなく断られる場合は、他の確認方法(空き缶チェック、工程写真など)を強化するか、別の業者を検討してください。
Q. 中塗りと上塗りを同じ日にやるのはダメですか?
A. 基本的にはNGです。塗料メーカーの仕様書には「塗り重ね可能時間」が記載されており、通常は数時間〜1日以上の乾燥時間が必要です。同じ日に塗ると、塗膜の内部が乾燥しないまま次の層が重なり、剥離や膨れの原因になります。
Q. 写真だけで手抜きは見抜けますか?
A. 写真だけでは難しいです。だからこそ、「色分け」「空き缶確認」「乾燥時間の管理」など、複数の方法を組み合わせることが重要です。
Q. 2回塗りでも問題ない場合はありますか?
A. メーカーによっては「2回塗り仕様」の塗料もあります。ただし、一般的な外壁塗装では3回塗りが標準です。見積書に「2回塗り」と明記されている場合は、その理由を確認しましょう。
まとめ:中塗り・上塗りの見分け方
中塗りと上塗りは同じ塗料を使うため、写真だけで見分けるのは困難です。
しかし、以下の対策を組み合わせることで、3回塗りを確実に確認できます。
契約時の対策:
- 契約書に「3回塗り」を明記
- 中塗りと上塗りの「色分け」を依頼
- 工程ごとの写真提出を依頼
- 空き缶の確認を依頼
工事中の確認方法:
- 塗料缶の数を確認
- 乾燥時間が確保されているか確認
- 可能であれば現場を訪問
- 施工管理アプリで工程を管理
「見えない」工程だからこそ、事前の対策が重要です。契約前に業者としっかり確認し、安心して工事を任せられる体制を整えましょう。
施工管理アプリで3回塗りを確実に確認
施工管理アプリでは、中塗り・上塗りの工程管理が自動化されています。
- 工程ごとの写真記録
- 乾燥時間の自動チェック
- 塗料使用量の計算
- LINE通知でリアルタイム確認
「本当に3回塗ってくれるかな…」という不安を解消するツールです。
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この記事は、塗装業50年の経験を持つ職人監修のもと作成されています。
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