「施工管理アプリ」という言葉を聞いたことがありますか?
建設業界では、工事の進捗や品質を管理するためのアプリが急速に普及しています。ANDPAD、現場ポケット、KANNAなど、多くの業者が導入を進めています。
しかし、これらは基本的に業者のためのツールでした。
今、新しい流れとして注目されているのが「施主向け施工管理アプリ」です。外壁塗装などのリフォーム工事で、施主自身が工程を管理し、品質をチェックできるツールが登場しています。
この記事では、施工管理アプリの基本から、施主が使うメリットまでを分かりやすく解説します。
この記事で分かること
- 施工管理アプリとは何か
- 業者向けアプリと施主向けアプリの違い
- 施主が施工管理アプリを使う7つのメリット
- 施工管理アプリの主な機能
- どんな人におすすめか
施工管理アプリとは?
基本的な定義
施工管理アプリとは、建設工事の進捗・品質・コスト・安全を管理するためのデジタルツールです。
従来、工事の管理は紙の書類やホワイトボード、電話連絡で行われていました。施工管理アプリは、これらをスマートフォンやタブレットで一元管理できるようにしたものです。
従来の施工管理との違い
従来の施工管理:
- 紙の工程表を現場に掲示
- 電話やFAXで進捗報告
- 写真は現像してファイリング
- 情報共有に時間がかかる
- 記録が散逸しやすい
施工管理アプリ:
- スマホで工程をリアルタイム確認
- アプリ上で進捗を即時共有
- 写真はクラウドに自動保存
- 関係者全員が同じ情報を見られる
- 記録が自動で蓄積される
建設業界での普及状況
施工管理アプリは、建設業界で急速に普及しています。
主な業者向け施工管理アプリ:
- ANDPAD:導入企業19万社以上
- 現場ポケット:中小工務店に人気
- KANNA:写真管理に強み
- Kizuku:大和ハウスグループ
これらのアプリにより、建設現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいます。
業者向けアプリと施主向けアプリの違い
業者向け施工管理アプリの特徴
ANDPADなどの業者向けアプリは、業者の業務効率化を目的としています。
主な用途:
- 複数現場の一括管理
- 職人への指示・連絡
- 工程表の作成・共有
- 写真・図面の管理
- 見積・請求書の作成
施主との関係:
- 導入するのは業者
- 費用を負担するのも業者
- 施主に見せる情報は業者が選別
- 施主はゲストアカウントで限定的にアクセス
つまり、情報の主導権は業者側にあります。
施主向け施工管理アプリの特徴
一方、施主向け施工管理アプリは、施主が工事を管理することを目的としています。
主な用途:
- 自分の工事の進捗確認
- 工程ごとの写真記録
- 業者への質問・連絡
- 品質チェック
- 記録の保存
業者との関係:
- 導入するのは施主
- 費用を負担するのも施主
- 施主が必要な情報を業者に要求
- 情報の主導権は施主側
施主が施工管理アプリを使う7つのメリット
メリット1:工事の「見える化」
外壁塗装は、見えない工程が多い工事です。
- 高圧洗浄でどこまで汚れを落としたか
- 下塗りが適切な厚みで塗られたか
- 中塗りと上塗りの間に乾燥時間を取ったか
これらは完成後に見ても分かりません。
施工管理アプリを使えば、各工程の写真や報告がリアルタイムで届きます。「見えない工程」を「見える化」できるのが最大のメリットです。
メリット2:手抜き工事の抑止力
「施主が見ている」という事実が、手抜きの抑止力になります。
防犯カメラと同じ原理です。カメラがあると分かっていれば、悪いことをしようとは思いません。
施工管理アプリで進捗を確認し、写真記録を求めていることが分かれば、業者も緊張感を持って作業します。
メリット3:「言った・言わない」を防げる
工事中のトラブルで多いのが「言った・言わない」の水掛け論です。
「追加工事の説明を受けていない」「完了予定日が違う」「この仕様で合意していない」
アプリ上でやり取りを残せば、すべてが記録されます。後から確認できるので、トラブルを未然に防げます。
メリット4:毎日現場に行かなくていい
仕事をしながら毎日現場に行くのは難しいという方も多いでしょう。
施工管理アプリなら、スマホで進捗を確認できます。通勤中や昼休みにアプリを開くだけで、今日の作業内容が分かります。
気になることがあれば、アプリ上で質問もできます。現場に行く時間がない方でも、工事を把握できます。
メリット5:記録が自動で残る
施工管理アプリに蓄積された記録は、将来のメンテナンスに役立ちます。
- 前回どの塗料を使ったか
- どの部分を補修したか
- 工事から何年経過したか
これらの情報があれば、次回の塗り替え時に適切な判断ができます。紙の書類は紛失しますが、クラウドに保存された記録は消えません。
メリット6:トラブル時の証拠になる
万が一、工事後に不具合が発生した場合、アプリの記録が証拠になります。
「この工程は○月○日に完了した」「この時点で写真を撮っている」「業者からはこう説明された」
記録があれば、施主の主張を裏付けることができます。
メリット7:工事への納得感が高まる
何が行われているか分からない状態で100万円以上を支払うのは、不安なものです。
アプリで日々の進捗を確認し、写真で作業内容を見ることで、「ちゃんとやってもらっている」という実感を得られます。
この納得感は、工事後の満足度にも直結します。
施工管理アプリの主な機能
カンバンボード(工程管理)
工程を「未着手」「進行中」「完了」の3列で管理する機能です。
外壁塗装の21工程が一目で把握でき、今どの段階にいるのかがすぐに分かります。業者が工程を更新するたびに、ステータスが移動します。
LINE通知
専用アプリをインストールする必要はありません。普段使っているLINEに通知が届きます。
「本日、高圧洗浄が完了しました」「中塗り後、4時間の乾燥時間を確保します」
こうした報告がリアルタイムで届くので、仕事中でも進捗を把握できます。
写真記録
各工程で撮影された写真がアプリに記録されます。
特に重要なのは、仕上がった後では確認できない工程の写真です。
- 高圧洗浄前後の比較
- 下地補修の状況
- 下塗り完了時の状態
- 使用した塗料缶の品番
これらの写真は、万が一のトラブル時に証拠となります。
塗料混合計算
塗料は適正な量を使用する必要があります。
アプリの計算機能を使えば、外壁面積と塗料の種類から「必要な塗料缶数」を算出できます。見積書の缶数と比較することで、塗料の「間引き」を防げます。
乾燥時間管理
塗料メーカーが指定する乾燥時間は、品質を左右する重要な要素です。
アプリが乾燥時間を管理し、「中塗り後○時間経過。上塗り可能です」といった通知を出します。急いで塗り重ねることによる品質低下を防げます。
チェックリスト
各工程で確認すべきポイントをリスト化した機能です。
「コーキングは打ち替えか、増し打ちか」「高圧洗浄後、24時間以上乾燥させたか」「3回塗りが完了したか」
施主が専門知識がなくても、チェックリストに沿って確認できます。
どんな人におすすめか
おすすめの人
- 初めて外壁塗装をする人
初めての工事は、何が正しいか分からないもの。アプリがあれば、工程の流れや確認ポイントが分かります。
- 仕事で毎日現場に行けない人
スマホで進捗を確認できるので、現場に行く時間がなくても安心です。
- 業者を信頼しているが、念のため記録を残したい人
信頼していても、記録を残すことは大切です。「備えあれば憂いなし」の保険として。
- 過去にリフォームでトラブルを経験した人
二度と同じ思いをしたくない方には、特におすすめです。
- 高額な工事で失敗したくない人
100万円を超える工事です。数千円の費用で安心を買えるなら、費用対効果は高いと言えます。
向いていないかもしれない人
- 工事に全く関心がない人
アプリを見る習慣がなければ、効果は半減します。
- 業者との信頼関係を重視する人
「監視されている」と感じる業者もいるかもしれません(ただし、まともな業者は歓迎します)。
- スマホの操作が苦手な人
LINEが使えれば問題ありませんが、スマホ自体が苦手な方には難しいかもしれません。
導入のタイミング
ベストは「契約後・着工前」
施工管理アプリは、工事が始まってからでは遅いケースがあります。
契約後、着工前に導入し、業者に「このアプリで進捗を共有してほしい」と伝えるのがベストです。
導入から活用までの流れ
Step 1:契約後すぐにアプリを準備
契約が決まったら、着工前にアプリをセットアップします。
Step 2:業者に共有方法を伝える
「写真はこのLINEに送ってください」「工程が進んだら連絡をください」
業者に負担をかけない形で、報告方法を伝えます。
Step 3:工事中は通知で進捗を確認
毎日現場に行く必要はありません。通知で進捗を確認し、気になる点があれば質問します。
Step 4:完了後は記録を保存
工事が完了したら、写真記録と工程履歴を保存します。
よくある質問(FAQ)
Q. 施工管理アプリは無料で使えますか?
A. 業者向けアプリは月額数千円〜数万円のものが多いです。施主向けアプリは500円〜29,800円程度で、工事期間中だけの利用も可能です。100万円以上の工事に対する「保険」と考えれば、費用対効果は高いです。
Q. ITが苦手でも使えますか?
A. LINEが使えれば問題ありません。通知を受け取り、写真を確認するだけなので、特別なスキルは不要です。
Q. 業者に嫌がられませんか?
A. まともな業者は歓迎します。「ちゃんと見てくれる施主の方が、工事後のクレームも少ない」と考える業者が多いです。逆に、嫌がる業者は何か隠したいことがあるのかもしれません。
Q. 外壁塗装以外の工事でも使えますか?
A. 屋根塗装、防水工事、内装リフォームなど、工程管理が必要な工事であれば活用できます。
Q. 業者向けアプリを施主が使うことはできますか?
A. 業者が導入していれば、施主用アカウントを発行してもらえる場合があります。ただし、見られる情報は業者が選別したものに限られます。
まとめ:施工管理アプリは「施主の味方」
施工管理アプリは、工事の「見える化」を実現するツールです。
業者向けアプリは業務効率化が目的ですが、施主向けアプリは品質確認と自己防衛が目的。情報の主導権を施主が持てるのが大きな違いです。
施主が施工管理アプリを使う7つのメリット:
- 工事の「見える化」
- 手抜き工事の抑止力
- 「言った・言わない」を防げる
- 毎日現場に行かなくていい
- 記録が自動で残る
- トラブル時の証拠になる
- 工事への納得感が高まる
外壁塗装は100万円を超える大きな買い物です。「業者に任せるしかない」時代は終わりました。
施工管理アプリを使って、自分の工事を自分で守りましょう。
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この記事は、塗装業50年の経験を持つ職人監修のもと作成されています。
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