はじめに:なぜ塗装面積を知ることが重要なのか
外壁塗装の見積書を受け取ったとき、こんな疑問を持ったことはありませんか?
- 「塗装面積120㎡って、本当に合ってるの?」
- 「うちは30坪だけど、面積はどのくらい?」
- 「業者によって面積が違うのはなぜ?」
実は、塗装面積は見積もり金額を左右する最重要項目です。
面積が10㎡違えば、塗装費用は数万円変わります。悪質な業者の中には、実際より大きな面積で見積もりを出し、水増し請求するケースもあります。
この記事では、50年の塗装経験をもとに、自分で塗装面積を計算する3つの方法と、見積書の面積が妥当かチェックするポイントを解説します。
外壁塗装面積の基本知識
塗装面積とは?
塗装面積とは、実際に塗料を塗る部分の面積のことです。
重要なのは、「建物の外壁全体」ではなく、窓やドアなど塗らない部分を除いた面積だということ。
塗装面積 = 外壁の総面積 − 開口部(窓・ドア)の面積
延床面積と塗装面積は違う
よくある誤解が「延床面積=塗装面積」という勘違いです。
用語の違い:
- 延床面積:各階の床面積の合計(30坪の場合 約99㎡)
- 外壁面積:建物の外周×高さ(30坪の場合 約140〜160㎡)
- 塗装面積:外壁面積−開口部(30坪の場合 約120〜135㎡)
延床面積30坪(約99㎡)の家でも、塗装面積は120㎡以上になるのが一般的です。
【方法①】簡易計算法:延床面積×係数
最も手軽な方法が、延床面積に係数を掛ける計算法です。
計算式
塗装面積 = 延床面積(㎡) × 係数(1.2〜1.4)
係数の目安
- シンプルな形状・窓が多い → 1.2
- 標準的な2階建て → 1.2〜1.3
- 複雑な形状・窓が少ない → 1.3〜1.4
- 3階建て・狭小住宅 → 1.4〜1.5
坪数別・塗装面積早見表
- 20坪(約66㎡) → 塗装面積目安:約80〜90㎡
- 25坪(約83㎡) → 塗装面積目安:約100〜110㎡
- 30坪(約99㎡) → 塗装面積目安:約120〜130㎡
- 35坪(約116㎡) → 塗装面積目安:約140〜150㎡
- 40坪(約132㎡) → 塗装面積目安:約160〜170㎡
- 50坪(約165㎡) → 塗装面積目安:約200〜215㎡
延床面積が小さい住宅ほど、係数は大きくなる傾向があります。これは、小さい家ほど「外壁面積÷床面積」の比率が高くなるためです。
この方法の注意点
- あくまで概算であり、正確な値ではない
- 建物の形状や窓の数で実際の面積は前後する
- 見積書の面積と大きくズレていないかの目安チェックに使う
【方法②】外周×高さで計算する
より正確に計算したい場合は、外周長×建物高さで求めます。
計算式
塗装面積 = 外周長(m) × 建物高さ(m) × 0.85
※0.85は開口部(窓・ドア)を約15%控除する係数
具体例:幅5m×奥行10mの総2階建て
- 外周長を計算:(5m + 10m) × 2 = 30m
- 建物高さ:一般的な2階建ては約6〜6.5m
- 面積を計算:30m × 6.25m × 0.85 ≒ 159㎡
外周長の測り方
実測する場合:
- 5m以上のメジャー(できれば30mのロングメジャー)を使用
- 建物をぐるりと一周しながら各辺の長さを測定
- L字型や凹凸がある場合は、各辺を個別に測って合計
高さの測り方:
- 一般的な2階建ての軒高は約6〜6.5m
- 直接測れない場合は、1階の天井高(約2.5m)+2階の天井高(約2.4m)+床厚で概算
- レーザー距離計があれば簡単に測定可能
開口部控除の目安
- 窓が多い(掃き出し窓複数) → 控除率20%、係数0.80
- 標準的 → 控除率15%、係数0.85
- 窓が少ない → 控除率10%、係数0.90
【方法③】図面から正確に計算する
最も正確な方法が、建築図面を使った計算です。
必要な図面
- 平面図:各階の間取りと外周寸法がわかる
- 立面図:建物の各面と高さがわかる
計算手順
STEP 1:外周長を把握する
平面図から各階の外周寸法を読み取ります。図面に寸法が書いてあればそのまま使用。書いていない場合は、三角スケール(縮尺定規)で測定します。
例:1/100の図面なら、図上で5cmの線は実際には5m
STEP 2:高さを確認する
立面図から軒高(地面から軒先までの高さ)を読み取ります。
- 1階部分:約2.7〜3.0m
- 2階部分:約2.5〜2.7m
- 合計軒高:約5.5〜6.5m
※基礎の高さ(約40〜50cm)は塗装しないので含めません
STEP 3:各階の壁面積を計算
1階外壁面積 = 1階外周長 × 1階高さ
2階外壁面積 = 2階外周長 × 2階高さ
例:
- 1階外周35m × 高さ3.0m = 105㎡
- 2階外周37m × 高さ2.7m = 99.9㎡
- 合計:約205㎡
STEP 4:開口部を差し引く
立面図に描かれた窓・ドアのサイズと数を確認し、面積を計算して差し引きます。
開口部の面積目安:
- 掃き出し窓(1.8m × 2.0m):3.6㎡
- 腰高窓(1.6m × 1.0m):1.6㎡
- 小窓(0.6m × 0.6m):0.36㎡
- 玄関ドア(0.9m × 2.0m):1.8㎡
例:開口部合計が30㎡の場合
→ 塗装面積 = 205㎡ − 30㎡ = 175㎡
STEP 5:ベランダ等を加算
ベランダの外壁は表裏両面あることを忘れずに。
例:ベランダ外周6m × 高さ1.2m × 2面 = 14.4㎡を加算
形状別の注意点
L字型・コの字型の住宅
複雑な形状の家は、同じ床面積でも塗装面積が増えます。
- 総2階(箱型):外周が最も短く、塗装面積は最小
- L字型:入隅・出隅があり、外周が長くなる
- コの字型:さらに外周が長く、塗装面積大
L字型やコの字型の住宅は、各辺を個別に測定して合計する必要があります。
切妻屋根の三角部分
屋根が三角形(切妻)の場合、妻側の外壁上部に三角形の壁面があります。
三角部分の面積 = 底辺 × 高さ ÷ 2
例:底辺5m × 高さ2m ÷ 2 = 5㎡(×2面で10㎡)
見積書の面積をチェックする方法
業者から受け取った見積書の面積が妥当かどうか、以下の方法でチェックできます。
チェック1:延床×係数と比較
見積書の面積 ÷ 延床面積(㎡) = ?
- 1.2〜1.4なら適正範囲
- 1.5以上なら過大請求の可能性
- 1.1以下なら計算ミスまたは手抜きの可能性
チェック2:複数見積もりで比較
3社から見積もりを取り、面積を比較します。
- A社:125㎡
- B社:128㎡
- C社:165㎡ ←要確認
大きく異なる業者には、根拠を確認しましょう。
チェック3:開口部控除を確認
「開口部を引いていない面積」で見積もりを出す業者もいます。
「この面積は、窓やドアの面積を引いた後の数字ですか?」
と確認してください。
外壁材による塗料使用量の違い
同じ面積でも、外壁材の凹凸によって必要な塗料量が変わります。
外壁材別の塗料使用量:
- 金属サイディング(ツルツル):少なめ
- 窯業サイディング・フラット(やや凹凸):標準
- 窯業サイディング・石調(凹凸大):多め(1.1〜1.2倍)
- モルタル・リシン吹付(凹凸大):多め
- モルタル・スタッコ(凹凸大):かなり多め
凹凸が大きい外壁材は、隙間まで塗料を行き渡らせる必要があるため、平滑な壁より10〜30%多く塗料が必要になります。
また、劣化が進んでチョーキング(粉吹き)が出ている外壁は、塗料を吸い込みやすく、さらに使用量が増えます。
見積書チェックポイント:
- 塗料缶数が明記されているか?
- 面積と缶数から計算した塗布量は、メーカー規定(0.12〜0.14kg/㎡程度)に合っているか?
よくある質問
Q:付帯部(雨樋、軒天など)は面積に含める?
A:含めません。
付帯部(破風板、雨樋、軒天、庇など)は、外壁面積とは別に計上するのが一般的です。見積書では「付帯部塗装」として別項目になっているはずです。
Q:タイル部分はどうする?
A:塗装面積から除外します。
タイルやレンガ調の外壁部分は基本的に塗装しないため、面積から差し引きます。
Q:図面がない場合はどうすれば?
A:実測するか、Googleマップを活用します。
- Googleマップの「距離測定」機能で敷地の大まかな寸法を確認
- ストリートビューで玄関ドア(高さ約2m)を基準に建物高さを目測
- あくまで概算ですが、目安にはなります
まとめ:面積を知れば、見積もりが見える
この記事のポイント
- 塗装面積 = 外壁面積 − 開口部(窓・ドアは塗らない)
- 簡易計算:延床面積 × 1.2〜1.4 で概算
- 正確な計算:外周長 × 高さ × 0.85、または図面から算出
- 見積書チェック:面積÷延床が1.2〜1.4なら適正範囲
- 外壁材の凹凸で必要な塗料量は変わる
塗装面積を自分で把握しておけば、見積書の妥当性を判断できます。面積が大きすぎれば水増し請求、小さすぎれば手抜きの可能性——どちらも危険信号です。
面積計算、自分でやるのは大変ですか?
「図面がない」「計算が面倒」「業者の面積が正しいか自信がない」
そんな方は、50年の塗装経験を持つ現役職人による見積書診断をご活用ください。
診断では以下をチェックします:
- 面積計算は妥当か?(延床面積との比率、開口部控除)
- 塗料缶数は適正か?(面積×塗布量の逆算チェック)
- 単価は相場内か?
- 過大請求・手抜きの兆候はないか?
「見積書の面積が本当に正しいのか」——プロの目で確認します。
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