はじめに:あなたの大切な家を悪徳業者から守るために
50年にわたり地域で塗装店を営んできた私から、他のどの話よりも先にお伝えしたい、非常に大切な話をします。
もしあなたの、あるいは離れて暮らすご両親の大切な家が悪徳業者に狙われたら…そう考えるだけで胸が痛みます。
実際に、訪問販売によるリフォーム工事のトラブル相談は、国民生活センターへ寄せられるだけで2020年時点で1万4000件に上り、年々増加しています。
この記事を読んでいただくことで、そんな悲劇を一件でも減らせると信じています。地域で塗装店を営む職人の視点から、「本当に良い塗装業者が絶対にしないこと」を5つのポイントに絞って解説します。
なぜ悪徳業者の手口は減らないのか?「塗装方程式」で読み解く
悪徳業者の手口を理解する前に、なぜ彼らがそのような行動を取るのかを知っておく必要があります。
私が提唱する「塗装方程式」では、品質 = モチベーション × 技術 × 時間と表現しています。
悪徳業者のビジネスモデルは、この方程式の「時間」を極限まで削ることで利益を出す構造になっています。
- 契約を急がせる → 相見積もりをさせない
- 一式見積もり → 工程を曖昧にして省略しやすくする
- 3回塗りの省略 → 時間と材料費を削減
- 足場代無料 → 他で利益を上乗せ
つまり、悪徳業者の手口は「性格が悪い」からではなく、低価格で利益を出すための「必然」なのです。これを理解すれば、見抜くポイントが見えてきます。
1. 契約を異常に急がせる
良い塗装業者は、お客様が工事内容や金額についてじっくり検討する時間を何よりも尊重します。そのため、契約を異常に急がせることは絶対にありません。
こんな言葉が出たら要注意
- 「今ならキャンペーンで3万円値引きします」
- 「本日中にご契約いただけないと、このモニター割引は適用されません」
- 見積書の有効期限を「5日以内」など、極端に短く設定してくる
これらの手口は、お客様に複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」の機会を与えず、冷静な判断をさせないために使われます。
信頼できる業者であれば、見積もりの検討期間として最低でも1ヶ月程度の猶予を設け、お客様が心から納得して決断することを最優先にします。
2. 「一式」ばかりの曖昧な見積もりを出す
良い業者は、工事の透明性を重視するため、何にいくらかかるのか詳細が不明な「一式」という表記を多用した見積書は決して提出しません。
悪質な見積書の特徴
- 診断書がない:建物の劣化状況の具体的な説明や写真が添付されていない
- 面積の水増し:外壁の塗装面積を実際より20㎡ほど多く記載
- 塗料名が不明:「シリコン塗料」という大まかな記載のみ
- 必要な工事の欠落:シーリング打ち替えが含まれていない
- 保証の有無が不明:工事後の保証について記載なし
- 人工が書かれていない:何人の職人が何日かけるか不明
適正な見積書とは
「仮設足場」「高圧洗浄」「シーリング打ち替え」「下塗り」「中塗り」「上塗り」といった各工事項目について、数量(㎡、mなど)と単価が明確に記載されています。
さらに、「人工(にんく)」が明記されていることが重要です。一般的な戸建て外壁塗装では20〜25人工が必要とされています。これより極端に少ない場合は、手抜き工事の温床です。
3. 見えない部分の工程を省く(3回塗りの軽視)
塗装の品質は、完成後には見えなくなってしまう「下地処理」と「塗り回数」で決まります。プロの職人であればあるほど、この見えない部分こそ丁寧に作業します。
3回塗りの各工程の役割
【各工程と省略した場合の影響】
- 下塗り:既存の壁と上塗り塗料を密着させる「接着剤」→ 省略すると数年で塗膜がベロベロに剥がれる
- 中塗り:塗膜の厚みを確保 → 省略すると耐久年数が大幅に短縮
- 上塗り:性能を最大限に発揮 → 省略すると本来の性能を発揮できない
特に、中塗り・上塗りを1回で済ませる手抜き工事(通称「ピン仕上げ」)は、たとえ高性能な塗料を使っても、本来の耐久年数を維持することはできません。これは昔からある悪質な手口で、私たちプロからすれば言語道断です。
手抜き工事を見抜くポイント
良い業者は、各塗装工程の間で、塗料メーカーが指定する乾燥時間(例:気温23℃で4~5時間以上)を厳守します。
「1日1工程」が基本です。
「うちは仕事が早いので2週間で工事が終わります」といった極端に短い工期を提示する業者は、この乾燥時間を無視しているか、工程そのものを省略している可能性が非常に高いです。
塗装方程式の「時間」を削ることは、品質を犠牲にすることと同義なのです。
4. 「足場代無料」や「自社オリジナル塗料」など、うまい話を持ちかける
「無料」や「オリジナル」といった、一見お得に聞こえる言葉には細心の注意が必要です。
からくり①:「足場代無料」キャンペーン
外壁塗装における足場の設置・解体費用は、工事総額の約20%を占める、数十万円かかる重要な費用です。これを無料にすることはビジネスとして不可能です。
「足場代無料」を謳う業者は、その費用を塗料代やその他の工事費に巧妙に上乗せしているだけです。
拙著『外壁塗装の不都合な真実』でも解説しましたが、自社で足場を保有している業者は、レンタル費用がかからないため構造的にコストを抑えられます。これは「無料」という見せかけの割引とは根本的に異なります。
からくり②:「高性能な自社オリジナル塗料」
塗装業者が勧める「オリジナル塗料」は、その99%が、既存の塗料メーカーが製造した製品のラベルを貼り替えただけのOEM商品です。
なぜオリジナル塗料を勧めるのか?
- 価格を自由に設定するため:市場価格がないため、業者の言い値になる
- 相見積もりをさせないため:他社の塗料と比較できなくなる
お客様側にはオリジナル塗料のメリットは一つもありません。
5. 必要以上に不安を煽って契約を迫る
良い業者は、建物の現状を客観的な事実に基づいて診断し、冷静に報告します。一方で、悪徳業者は「このままでは大変なことになる」とお客様の不安を過剰に煽り、冷静な判断力を奪って契約を迫る手口を多用します。
特に注意すべきセールストーク
- 「屋根に異常が見つかったので、すぐに上がって見せてください」
- 「このまま放置すると、すぐに雨漏りしますよ」
- 「このままでは家がダメになります。大変なことになりますよ」
特に「屋根に上がらせてほしい」という申し出には、理由を問わず、絶対に屋根に上がらせてはいけません。
なぜなら、屋根に上がってわざと瓦を割ったり板金を傷つけたりして、「ほら、こんなに大変なことになっていますよ」と問題を作り出す手口が増えているからです。
特に、離れて暮らす高齢のご両親がいる場合は、このような手口に騙されやすいため、ご家族で情報を共有し、注意を払うよう心掛けてください。
まとめ:後悔しない塗装工事のために
この記事で解説した「良い塗装業者が絶対にしない5つのこと」を、最後にもう一度確認しましょう。
5つのチェックポイント
- 契約を異常に急がせること → 最低1ヶ月の検討期間を設けているか
- 「一式」ばかりの曖昧な見積もり → 人工・工程・塗料が明記されているか
- 見えない部分の工程を省くこと → 3回塗りと乾燥時間を厳守しているか
- 「足場代無料」などのうまい話 → 自社足場保有など構造的な理由があるか
- 必要以上に不安を煽ること → 冷静に事実を説明しているか
これらのポイントに一つでも当てはまる業者には、注意が必要です。
相見積もりが最大の防御策
後悔しないために、必ず2~3社から相見積もりを取り、それぞれの見積書や提案内容をじっくり比較検討することが、悪徳業者から身を守るための何より有効な防御策です。詳しくは口コミ・評判の正しい見方もご覧ください。
詳細な見積書を複数並べれば、「面積の水増し」や「足場代無料のからくり」、「オリジナル塗料の不透明さ」といった手口は一目瞭然になります。
クーリング・オフ制度について
万が一、強引な勧誘で契約してしまった場合でも、契約書面を受け取った日から8日以内であれば無条件で契約を解除できるクーリング・オフ制度を利用できます。困ったときには、一人で悩まずに最寄りの国民生活センターへ相談することも忘れないでください。
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