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難付着サイディングの見分け方と塗料選定|契約前に確認すべき素地診断の全知識

難付着サイディング(光触媒・フッ素・無機コート)の見分け方を解説。築年数、水かけテスト、ラッカーシンナーテストによる自己診断方法と、専用下塗り材の選び方、業者への確認ポイントを職人目線で紹介。

はじめに:あなたの外壁は「塗れない壁」かもしれない

外壁塗装を検討している施主様に、まず知っていただきたい重要な事実があります。

日本の住宅に広く普及している窯業系サイディングの一部は、通常の塗料では塗装できません。

これを「難付着サイディング」と呼びます。

私は愛知県で50年続く塗装店の2代目として、500件以上の現場を見てきました。その経験から断言できることがあります。

難付着サイディングを見分けられない業者に塗装を任せると、数年で塗膜が剥がれる可能性が高い。

なぜなら、難付着サイディングの表面には特殊なコーティングが施されており、このコーティングを無視して一般塗料を塗ると、塗膜が密着せず、早期剥離を引き起こすからです。

この記事では、難付着サイディングの見分け方と適切な塗料選定について、職人の目線から解説します。

第1章:難付着サイディングとは何か

難付着サイディングの定義

難付着サイディングとは、表面に特殊なコーティング(光触媒、フッ素、無機など)が施された窯業系サイディングの総称です。

これらのコーティングには以下の機能があります。

  • 光触媒コート:太陽光で汚れを分解し、雨で洗い流す「セルフクリーニング機能」
  • フッ素コート:撥水性・撥油性が高く、汚れが付きにくい
  • 無機コート:紫外線に強く、色あせしにくい

これらの高機能コーティングは、裏を返せば「塗料も弾いてしまう」という致命的な弱点を持っています。

主なメーカーと製品名

難付着サイディングは2001年頃から普及し始めました。主なメーカーと製品名は以下の通りです。

【ニチハ】

  • マイクロガード(光触媒)
  • ハイパーコート(高耐候)
  • プラチナコート(無機)

【ケイミュー(旧クボタ松下)】

  • 光セラ(光触媒)
  • 親水パワーコート
  • セラトピア

【旭トステム】

  • セルフッ素コート
  • AT-WALL+

築15〜25年程度の住宅で、外壁があまり汚れていない場合は、難付着サイディングの可能性が高いです。

第2章:難付着サイディングの見分け方【5つの診断方法】

難付着サイディングかどうかを見分ける方法は複数あります。確実な診断のためには、これらを組み合わせて判断します。

① 築年数と汚れ具合の確認

【診断ポイント】

  • 築年数:2001年以降(特に2005〜2015年頃)の新築
  • 汚れ具合:築15年以上でも外壁があまり汚れていない

築15年以上経過しているのに、外壁が比較的きれいな状態を保っている場合は、難付着サイディングの可能性が非常に高いです。

これは光触媒や親水性コーティングのセルフクリーニング効果によるものです。

② 水をかけて観察(撥水テスト)

【診断方法】

  1. 外壁の表面に水をかける
  2. 水の弾き方を観察する

【判定基準】

  • 水が玉状になって弾く → フッ素コート系の難付着サイディングの可能性
  • 水が薄く広がる(親水性) → 光触媒・親水コート系の難付着サイディングの可能性
  • 水が普通に染み込む → 通常のサイディング

③ ラッカーシンナーテスト

【診断方法】

  1. 目立たない箇所(軒下など)に少量のラッカーシンナーを含ませた布で擦る
  2. 塗料の溶け具合を確認する

【判定基準】

  • 塗料が溶けて色が布につく → 通常のサイディング
  • 塗料が溶けず、色がつかない → 難付着サイディングの可能性が高い

光触媒やフッ素コーティングは有機溶剤に溶けにくい性質があります。この特性を利用した診断方法です。

④ 図面・仕様書の確認

【確認書類】

  • 建築時の図面、仕様書
  • サイディングメーカーのカタログ
  • 新築時の契約書、見積書

これらの書類に「光触媒」「フッ素」「無機」「セルフクリーニング」「低汚染」などの記載があれば、難付着サイディングである可能性が高いです。

書類が残っていない場合は、サイディングの裏面やシール部分に製品名が記載されていることがあります。

⑤ メーカーへの問い合わせ

製品名が分かれば、メーカーに直接問い合わせることで確実に判別できます。

【問い合わせ先例】

  • ニチハ株式会社:0120-446-800
  • ケイミュー株式会社:0120-886-432

製品名、製造年月を伝えれば、難付着サイディングかどうかを教えてもらえます。

第3章:難付着サイディングに使える塗料

難付着サイディングには、専用の「密着性下塗り材」を使用する必要があります。私が提唱する「塗装方程式」では、品質を「モチベーション × 技術 × 時間」と定義していますが、難付着サイディングの場合は「材料選定」も重要な要素となります。

専用下塗り材の種類

難付着サイディング用の下塗り材は、各塗料メーカーから販売されています。

【エスケー化研】

  • マイルドボーセイ(2液エポキシ系)
  • エスケーハイブリッドシーラーEPO

【日本ペイント】

  • ファインパーフェクトシーラー
  • パーフェクトプライマー

【関西ペイント】

  • アレスダイナミックフィラー
  • RSサーフ

【菊水化学工業】

  • ロイヤルセラクリヤー

見積書に「難付着サイディング用下塗り材」または上記の製品名が記載されているか確認してください。

塗装システムの確認ポイント

見積書を確認する際は、工程ごとの人工数だけでなく、塗料システム全体を確認する必要があります。

【確認すべき項目】

  • 下塗り:難付着サイディング専用プライマーか
  • 中塗り:下塗り材と相性の良い塗料か
  • 上塗り:耐候性の高い塗料か(シリコン以上推奨)

難付着サイディングの場合、一般的な下塗り材では密着不良を起こすため、必ず専用品を使用する必要があります。

第4章:業者選定時の確認事項

難付着サイディングの塗装は、通常の外壁塗装よりも高度な知識と技術が求められます。

業者に確認すべき質問

見積もり依頼時に、以下の質問をしてください。

  1. 「うちの外壁は難付着サイディングですか?」
  2. 「どのような方法で判別しましたか?」
  3. 「使用する下塗り材の製品名は何ですか?」
  4. 「過去に難付着サイディングの塗装実績はありますか?」

これらの質問に明確に答えられない業者は、難付着サイディングの知識が不足している可能性があります。

危険な業者の特徴

以下のような対応をする業者は避けるべきです。

  • 外壁を確認せずに見積もりを出す
  • 「どんな外壁でも同じ塗料で大丈夫」と言う
  • 難付着サイディングについて知らない
  • 下塗り材の製品名を教えてくれない

見積書の内容に不安がある場合は、シーリング工事の確認ポイントと合わせて、第三者に確認することをお勧めします。

第5章:難付着サイディングを塗装しないという選択

難付着サイディングの塗装には特殊な技術が必要なため、場合によっては「塗装しない」という選択もあります。

塗装以外の選択肢

  • カバー工法:既存の外壁の上から新しいサイディングを張る方法
  • 張り替え工法:既存の外壁を撤去して新しいサイディングに交換する方法

これらの方法は塗装よりもコストがかかりますが、難付着サイディングの密着問題を根本的に解決できます。

塗装を選ぶ場合の注意点

それでも塗装を選ぶ場合は、以下の点を契約書に明記してもらいましょう。

  • 難付着サイディングであることの確認
  • 使用する専用下塗り材の製品名
  • 塗膜剥離が発生した場合の保証内容

保証内容が曖昧な場合、万が一剥離が発生しても「通常の経年劣化」として対応されない可能性があります。

まとめ:素地診断が塗装の成否を分ける

難付着サイディングの問題は、塗装業界でも認知度が高まっていますが、まだ正しい知識を持たない業者も少なくありません。

施主様自身が「自分の家の外壁が難付着サイディングかもしれない」という意識を持つことが、塗装失敗を防ぐ第一歩です。

難付着サイディング対策のまとめ

  1. 見分け方を実践:築年数、汚れ具合、水かけテスト、ラッカーシンナーテストで自己診断
  2. 業者に確認:難付着サイディングの知識があるか、使用する下塗り材は何かを質問
  3. 見積書を確認:専用下塗り材が明記されているか、塗装システム全体が適切か
  4. 保証内容を確認:塗膜剥離時の対応が契約書に明記されているか

素地診断は塗装工事の出発点です。この段階を疎かにすると、どれだけ良い塗料を使っても、数年で剥がれてしまう可能性があります。

「塗る前の診断」こそが、塗装の成否を分ける最重要ポイントなのです。

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