「防水一式」という陥穽
「防水工事一式」は発注者にとって最も警戒すべき危険信号
- 耐久性のある防水システム構築に不可欠な工学的判断をブラックボックス化
- 施工者の裁量で「手抜き」を合法化しかねない危険性
- 20年持つ防水層と3年で漏水する防水層の違いは仕上がりの美しさではない
膜厚管理、下地水分対策、重ね代確保、硬化養生中の環境管理という不可視のプロセスに集約
ベランダが受ける物理的ストレス
静水圧と水蒸気圧の力学
- 防水工事の本質は上空からの雨水遮断だけではない
下地からの湿気(水蒸気)をいかに制御するかが耐久性を左右
- コンクリート・モルタル下地は常に一定の水分を保持
- 太陽光で加熱されると内部水分が水蒸気となり体積膨張
- 行き場を失った水蒸気圧が防水層を剥離させ「膨れ」を発生
- 多くの「一式見積もり」工事が見落とす(意図的に無視する)物理現象
下地の挙動とクラック追従性
- 建物は動いている(地震、交通振動、熱膨張収縮サイクル)
- 下地には必ず微細なひび割れが発生
- 防水層には下地の動きに追従して伸び縮みする「伸長能力」が必要
硬いFRP vs 柔軟なウレタン・ゴムシートの選択は工学的必然性で決定すべき
膜厚管理:不可視の品質指標
ウレタン防水の膜厚基準
- 国交省の公共建築工事標準仕様書:平場で2.0mm〜3.0mm
- ベースのウレタン樹脂を2回に分けて塗布で達成
施工の落とし穴
- 規定量の半分しか使わなくても、トップコート後は見た目で区別不可能
薄い防水層は下地の微細な動きに追従できず、わずかな地震で断裂
検証プロトコル
- 材料検収(缶数計算):現場に搬入された一斗缶の数を確認
- 例:20㎡のベランダで厚み2mm確保→約40〜50kg以上の樹脂必要
- 一斗缶(約18〜24kg入り)で2〜3缶以上
- 「一式」見積もりでは「必要缶数」の根拠が提示されない
- ネタ場の管理:混合攪拌場所での空き缶確認も有効
見積書に必須の内訳明細
「一式」ではなく、以下が個別に計上されているべき:
- 高圧洗浄・下地処理費(㎡)
- 下地調整費(Uカットシーリング充填処理等)
- プライマー塗布費(㎡)
- 主剤(防水材)費(㎡):「ウレタン塗膜防水 通気緩衝工法 X-1相当」等の具体的工法名・メーカー名
- 脱気筒設置費(基)
- 保護仕上材(トップコート)費(㎡)
- 端末処理・シーリング費(m)
- 改修ドレン設置費(箇所)
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