建物を雨漏りから守っているのは塗装ではなくシーリング
施主が関心を持つのは塗料のグレードと色ですが、防水の要はシーリングです。
雨漏り事故の95.1%が「開口部(サッシ周り等)および外壁面」に起因しています。サッシ周辺からの雨漏りが約16%、外壁面からの漏水が約10%を占めます。
シーリングが劣化すれば、雨水は容易に建物内部へ侵入します。断熱材のカビ、構造木材の腐朽、鉄骨の錆といった致命的な構造欠陥へと進行するのです。
2面接着と3面接着の決定的な違い
2面接着(ワーキングジョイント=動く目地)
- 目地の底に「ボンドブレーカー」を挿入し、底面には接着させない
- 左右の部材のみに接着させる
- 建物が揺れても、ゴムバンドのように自由に伸び縮みできる
サイディングの縦目地など、動きのある場所では2面接着が必須です。
3面接着(ノンワーキングジョイント=動かない目地)
- 目地の底を含めた3面すべてに接着
- 部材が動かない場所で有効(RC造のサッシ周りなど)
- 接着面が多いほど防水性・気密性が高まる
間違った接着は致命傷
動く場所で3面接着すると、シーリング材が伸縮できず早期破断を起こします。最悪の場合、外壁材そのものを破壊(クラック)させることもあります。
「打ち替え」と「増し打ち」の判断基準
| 工法 | 定義 | メリット | デメリット | 推奨状況 |
|------|------|---------|-----------|---------|
| 打ち替え | 既存を完全撤去→清掃→プライマー→新規充填 | 十分な厚みを確保、接着をリセット | コスト高、防水紙損傷リスク | サイディング目地、ALC目地 |
| 増し打ち | 既存の上に新しい材を被せる | コスト安、防水紙を傷つけない | 厚みが確保できず早期破断 | モルタルのサッシ周り |
動きのある目地(ワーキングジョイント)では「打ち替え」が唯一の正解です。「増し打ち」は物理的に必要な厚みを確保できないため、数年で破断します。
ブリード現象とノンブリード(NB)
ブリード現象とは
- シーリング材の「可塑剤」が表面に浮き出る現象
- 塗料に油分が移行し、ベタつきが発生
- 排気ガスや埃が付着し、黒ずんだシミに
- 洗浄しても落ちない
対策
- 「ノンブリード(NB)」タイプを使用
- 見積書に「NB品」と明記されているか確認
- 単に「変成シリコーン」だけの記載は要注意
見積書チェックポイント
「一式」は拒否せよ
「シーリング工事 一式 ○○円」は危険信号です。
正しい見積書には「メートル数(m)」と「単価(円/m)」が記載されています。30坪のサイディング住宅で200m前後、ALCなら400m前後が目安です。
契約前の質問チェックリスト
| 確認項目 | 質問 | 合格回答 | 危険な回答 |
|---------|------|---------|-----------|
| 工法 | 目地は打ち替え?増し打ち? | サイディング目地は全て打ち替え、サッシ周りは状況判断 | 全て増し打ちで大丈夫 |
| 接着構成 | ボンドブレーカーを入れますか? | はい、2面接着を確保します | 3面接着の方が丈夫(無知) |
| 材料 | ノンブリードタイプですか? | はい、NB品を使用します | 普通の変成シリコーンです |
| 乾燥時間 | 充填後、塗装まで何日空けますか? | 中2日〜3日以上 | 翌日にすぐ塗れます |
施工中の確認ポイント
- 撤去後:目地の中が空っぽ、ボンドブレーカーやハットジョイナーが見える
- プライマー塗布:透明な液体を刷毛で塗っている工程
- 養生テープ:目地の両脇にテープが貼られている
シーリングが適正に計上されているか不安な方へ
「一式」表記や「増し打ち」の提案に不安を感じたら、セカンドオピニオンをご活用ください。
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