塗装の寿命は「ケレン」で決まる
施主が関心を持つのは塗料のグレードと色ですが、塗装の耐久性を決める要因の8割は下地処理(ケレン)の質です。
ケレンとは、既存の塗膜や錆、汚れを除去し、新しい塗料が食い込むための「足がかり(アンカーパターン)」を形成する工程です。
最高級のフッ素樹脂塗料でも、ケレンが不十分なら数年で剥離します。
完工後には見えなくなる工程だからこそ、契約前の確認が重要です。
ケレンの等級分類(1種〜4種)
ケレンには1種から4種までの等級があり、住宅塗装では「3種ケレン」が標準です。
| 等級 | 工法 | 内容 | 住宅での採用 |
|------|------|------|-------------|
| 1種 | ブラスト法 | 研削材噴射で金属光沢まで露出 | ×(住宅地では不可) |
| 2種 | 動力工具入念 | 電動工具で錆・旧塗膜を完全除去 | △(重度の錆のみ) |
| 3種 | 動力・手工具 | 死膜・錆を除去、活膜は残して目荒らし | ◎(住宅の標準) |
| 4種 | 軽度清掃 | ほうき・はたき程度 | ×(不十分) |
住宅塗り替えの9割以上は3種ケレンが適正です。
見積書に「3種ケレン(ディスクサンダー・マジックロン使用)」と明記させることが重要です。
見積書チェックポイント
「一式」の罠に注意
「下地処理(ケレン含む)一式 30,000円」のような記載は危険信号です。
30坪の住宅を真面目にケレンすれば職人1〜2人工は必要です。「一式」で安価な場合は4種ケレン(掃除程度)の可能性が高いです。
独立計上されているか確認
下記の項目が個別に計上されているか確認してください。
| 項目 | 単位 | 適正単価目安 |
|------|------|-------------|
| 高圧洗浄 | ㎡ | 150〜250円 |
| 下地調整(ケレン) | ㎡ | 500〜1,000円 |
| クラック補修(Vカット) | 箇所/m | 1,500〜2,500円 |
| 錆止め塗装 | ㎡ | 500〜800円 |
「ケレン」と「高圧洗浄」は別工程です。混同している業者は要注意。
写真で確認すべき「証拠」
ケレンは次の工程(下塗り)で隠蔽されるため、工事写真が唯一の証拠です。
要求すべき写真リスト
- 施工前状況(劣化の状態)
- ケレン施工中(職人が作業している姿)
- ケレン完了・塗装前(最重要)
- 木部:表面が白っぽく荒れている状態
- 鉄部:赤錆がなくなり金属面が露出している状態
- モルタル:Vカット後の溝が見える状態
- 使用材料(研磨材の番手、プライマーの缶)
チェックポイント:表面がツルツルのまま、または赤錆が残ったままなら手抜きです。
ケレンが適正に計上されているか不安な方へ
見積書の「一式」表記に不安を感じたら、セカンドオピニオンをご活用ください。
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