塗料は「現場で完成する半製品」
缶に入っている状態は単なる化学薬品
- 塗料は缶に入っている状態ではあくまで「半製品」
- 現場で職人がその日の気温や湿度を見極め
- 適切な下地処理を施し、規定の塗布量を守り
- 厳密な乾燥時間を経て塗り重ねることで
- 初めて家を守る「完成品(塗膜)」へと昇華する
上塗り塗料のグレードより重要なこと
- 多くの施主は「上塗り塗料のグレード」や「30年持ちます」という営業文句に目を奪われがち
- しかし塗装の寿命を決定づけるのは:
- 下地調整
- 下塗り
- 構造ごとの特性を理解した塗料選定
- 上塗りは「最終防衛線」だが、その防衛線を支える基礎(下地)が腐っていれば崩壊する
塗料グレードの科学的理解
樹脂結合エネルギーと紫外線劣化
- 塗料の耐久性は「化学結合の強さ」と「紫外線エネルギー」の力関係で決まる
- 紫外線(UV)は約97kcal/molの解離エネルギー
- これより弱い結合を持つ樹脂は時間をかけて分解される
- これがチョーキング(白亜化)の正体
「1液型」と「2液型」の決定的違い
- 1液型:水やシンナーを混ぜるだけで塗れる
- 2液型:主剤と硬化剤を現場で計量・混合して使う
- 耐久性優先なら2液型を推奨
- ただし「可使時間(ポットライフ)」の管理が必要
環境要因と施工管理
インターバル(塗装間隔)の重要性
- 「手早く終わらせる業者」が良い業者ではない
「適切な乾燥時間を守るために現場を空ける日を作る業者」がプロ
気温・湿度による施工禁止条件
- 湿度85%以上:塗膜に水分が取り込まれ、ツヤ引けや白濁(カブリ)
- 気温5℃以下:造膜過程や架橋反応が停止・極端に遅延
- 冬場は日中の暖かい時間帯(10時〜14時頃)しか作業不可
チョーキングが早期(3〜5年)に出た場合の原因
- 規定塗布量の不足:塗料を規定以上に薄めて塗った
- 撹拌不足:塗料成分が分離したまま塗装
- 可使時間の超過:2液型塗料のゲル化が始まったものを使用
これらは全て「人災」
見積書チェックポイント
「下地」への言及量を見よ
- 良い業者の見積書は、上塗り塗料のカタログスペックより
- 「現在の壁の状態」と「それをどう処理するか」の解説に熱量を割く
下地こそが命
「缶数」の約束と空き缶の確認
- 塗布量をごまかされないための最強の防衛策
- 「この面積なら○缶必要です」という根拠を事前に提示させる
- 工事完了後に空き缶の写真を提出させる(または現物確認)
悪徳業者を牽制する最も効果的な手段
「待てる」勇気を持つ
- 「雨で工期が延びましたが、乾燥を優先しました」と報告してくる職人を責めない
工期短縮を強要することは、自ら手抜き工事を誘発するようなもの
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